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REPORT - 0405│ 水掛社宅地区

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水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部


栃木県│水掛社宅地区(水掛役員社宅)


滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 水掛社宅地区(幹部職員用住宅/古河掛水倶楽部/足尾鉱業所付属倉庫)


足尾銅山の関連遺構として取り上げられる事が少ない物件として少し前に「本山鉱山神社」をレポートした、そして今回もやっぱり撮影される事が少ないこの物件「水掛社宅地区」をご紹介したい。


この”水掛地区”は足尾駅の眼前と在って足尾銅山の盛繁期には色々と主要な役割を持つ建造物が集中していた、と言っても事務的な役割を担う物でその他の銅山関連遺構と比較すると少々見劣りするのは確か。だから廃墟さんには人気が無いのかもしれませんですなぁ、撮影対象としても中々なんだけれどもなぁ…。


大きく分けてのこの”水掛地区”、観光スポットも含めて以下の撮影ポイントが存在する。


・水掛社宅(水掛役員社宅)
・足尾鉱業所付属倉庫
・古河掛水倶楽部
・銅山電話資料館


一般公開されているのは「水掛役員社宅」、「古河掛水倶楽部」、「銅山電話資料館」の3つ。この3物件は資料館としても機能していて公開は週末のみ行われている、以下詳細。


公開:土曜日・日曜日・祝日
時間:午前10時~午後3時
料金:大人300円・子供200円(20人以上の場合20%の団体割引)


※ 平日も事前予約にて応相談(拝観出来る場合も在る様です)
※ GWは平日も通しで公開
※ 12月上旬~3月下旬までは冬季休館


問い合わせ先が平日と休日で違います、ご注意を。


平日:0288-93-3255
休日:0288-93-2015


水掛役員社宅」は6棟連なる幹部職員用住宅の一つで現在はこの1棟のみが「鉱石資料館」として一般公開されている、保存状態は他の5棟より格段に良い状態だ。


それではほんの少しでは在るけれどこの「水掛住宅地区」をレポートしよう。


photograph:+10


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水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部

貴重な昭和初期の町並みを残す地区としても歴史的価値が在り、足尾銅山関連の保存運動ではその対象として上位にランクされている。が、現在でも現役で住んでいる方が居る為に転居が完了しないとその保存対象として正式に名を連ねる事が出来ない状態でいる。


写真の住宅群は足尾駅寄り、つまり道路側の平屋群で現在で言えば中間管理職の方達に宛がわれた住宅。山側の一軒屋が連なる住宅群は幹部職員用住宅でその中の1軒(古河掛水倶楽部に一番近い住宅)は記述の通り鉱石資料館として一般公開されている、実はその幹部職員用住宅の中で一番大きくて豪華な中央に位置する家は市の管理下には無くて保存状態は非常に宜しくない。


photograph:koichiro


水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部


一般住宅群より少々上位の中間管理職の住宅、その玄関先。今で考えれば貧相な一軒屋とも思えるこの規模が当時は中階層の贅沢な家だったのだ、比較的銅山後期まで住んでいたのかサッシなどがステンレス製だ。


photograph:koichiro


水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部


幹部職員用住宅は縦に6棟連なっているが此方は3棟づつ平屋が並んでいる、波板で申し訳程度の囲いがされてはいるが桶屋が儲かる風が吹けば飛んでいってしまいそう。地区内は今でも銅山関係者の車が通行するので轍は新しく、そしてハッキリ残されている。


photograph:koichiro
水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部 地区内の位置関係はこんな感じだ、テニスコートを挟む形で上方が古河掛水倶楽部、下方が住宅群。住宅群も左右に分けて左側が中間管理職、右側の樹木が庭に点在するのが幹部職員用住宅。


水掛社宅 役員 廃墟 足尾銅山 古河掛水倶楽部


足尾鉱業所付属倉庫、管理物件では在るけれど外壁の老朽化は隠せる段階をとっくに過ぎて少々の崩落が見てとれる程。古河掛水倶楽部の敷地内だけれどこの建造物は非公開だ、中の様子を撮影した資料写真が在るけれど(コレは出版元から転載許可が降りませんでした)まあ普通。


記録では1910年に建築され、元々は本山抗口の敷地内に在った本山鉱業事務所が1907年の暴動によって焼失。兼ねてからの事業拡大も兼ねて現場から離れた交通の便の良い水掛地区に事務所を移転新築、これが1910年で同時期にこの倉庫も建造された事に成る。


事務所は1921年に足利市役所庁舎として売却され、その後老朽化に伴い解体。同じ建造時期でも煉瓦造りだった事で現在でも辛うじて現存出来た様だ、因みに大きな洋館だった事務所は解体後は現在の更地(テニスコートとして運用中)に成って新しい建造物の計画は全く無いとの事。


photograph:+10


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さて、最後にもう少し古河掛水倶楽部について語ろう。


古河掛水倶楽部は1899年、関連企業の重役や国の役職を迎える迎賓館として建造された。国内では最高峰の銅山規模と最先端の技術を投入した産業で得た莫大な資金力を活かし、この迎賓館は贅の限りを尽くして設計、建造されたそうだ。


建造当初は和洋折衷の造りだったが1910年に事業拡大(暴動によって本山鉱業事務所が焼失も移転新築の要因の一つ)を念頭に置いた鉱業所新築が行われ、掛水事務所がこの水掛地区に置かれると同時期に古河掛水倶楽部も和風部分を洋風に改築。正面玄関は洋風2階建て、庭園側は石造りの部分も含め3階建てと成って現在に至る。


因みに休日の一般公開以外の平日は現役稼動施設の「古河機械金属株式会社福利厚生施設」として現役職員が使用しているのは余り知られていない(現地の説明ボードにもパンフレットにも記載があるのになぁ)、改築跡が所々に見て取れるので旧建築に興味が在る人は別の意味でも楽しめる筈。


公開されている幹部職員用住宅の一つ、鉱石資料館。この住宅に関しても館内のパンフレットに大まかな歴史が記載されているので転載しておこう。


「この建物は明治44年(1911年)、幹部社員向けに建設された社宅で、床面積は約42坪あり、10畳間1室、8畳間3室、6畳間1室、3畳間1室、勝手、浴室となっており、6畳間は書生部屋、3畳間は女中部屋に使用された。


庭園部分は約216坪で、第2次世界大戦の時には「古河家」の疎開に使用された事から、庭には防空壕が作られている。


掛水地区の社宅は明治末期から大正初期に建設され、今もそのほとんどが使用されており、板塀、砂利道、木製電柱等、町並みそのものが古いまま残っており、貴重な建物群である。」


アプローチ
わたらせ渓谷線足尾駅の目の前です、足尾駅も風情があるので是非立ち寄る事をオススメします。


地図リンク
http://goo.gl/maps/PzFIP


photograph - nee


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