千葉県│七ッ釜渓谷 梨沢不動滝 再訪
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 七ッ釜渓谷(梨沢 七ッ釜渓谷/梨沢不動滝/大滝/天神山不動滝)
「行ってみた」恒例の沢はじめ、今年も房総の美しき渓流「梨沢」へ行って来ました。去年に続き今年も新人が入荷して今年も普段見る事が余りない風景をご紹介する機会が増えればと考えております、改めて入荷したばかりの新人をご紹介しましょうか。
初参加は今年(2015年)の保台清澄連絡道路の再訪から、その時にエントリーは追加エントリーとして以下のリンクからご確認下さい。
この時にも書いたのだけれど柔道3段で現役で試合の審判なんかをこなす骨太な26歳、若い。アタシら男性人は殆ど何かしらの格闘技有段者でそれぞれ空手、柔道、少林寺と中々と面白い組み合わせ、山岳会やレスキューの講習会では自衛隊さんや山岳救助の関係者さんばかりでホント怖いです。
怖い。
いや、別に皆さんとってもファニーで素敵なフレンズですよ。
今迄の梨沢に関するエントリーは以下より。
今年も新人研修最後の〆としてこの場所を選んでやって来た、新人のU氏には1月から沢での歩き方、岩場での簡単なムーブ、ロープワーク、10メートル程の低所でのラペリング、各クライムギアの使用方法や種類などを勉強して貰って来たのだけれど今回はそれらの知識を実践として身体に覚えて貰おうと。
メニューとしては、
・各種ワープワークの再確認
・倍力システムの理解と実践
・シャワークライムの基礎知識
・20メートル以上のラペリング
この4つ。これらがクリア出来れば初心者講習ともサヨウナラ、通常物件へ一緒に同伴して頂く事に成る。GW(2015年のゴールデンウィーク)にはちょっと危険(※1)な場所でのフリー登攀+ロープ登攀、高所でのラペリング物件が在るのでその調整としてもこの梨沢はとても面倒見の良い地形だ。
寝不足で口数の少ない車内、気分だけでも
ლ(・ิω・ิლ) ლ(・ิω・ิლ) で行こうじゃないか。
なあ?
ლ(╹◡╹ლ)ლ(╹◡╹ლ)
なんかしゃべろうぜ。
※1:75メートルの滝をね、ちょっとね。
2014年の記録的な大雪による崩落がアチコチで見て取れた前回の梨沢、今年は打って変わって有志によるボランティア整備が進められて倒木の伐採や剪定、土砂の除去(※2)などが行なわれた結果とても歩き易い渓相と成っていた。
川の流れの形成が若干以前と変わってしまったがとても美しいその姿は変わる事が無く、房総では珍しい沢の風景を楽しませてくれた。
※2:倒木や崩落しかけの樹木の伐採によって一部崩落し易い岸壁が在ります、落石が予想されるのでヘルメットを装着される事をお奨めします。
絶景ポイント、梨沢の大岩。この付近に体積していた大木も細かく寸断されて片付けられていた、とても在り難い事です。
今後「行ってみた」としても行政主導やNPO、地元の有志のこの様な活動に参加して行こうと考えています。こんな綺麗な場所を歩かせて貰ってるんだしねぇ、少しは恩返しせんと。
さて、場面はガラっと変わりますが適当なロケーションを見つけて「倍力システム」の講習に入ります。U氏にいずれSL(登山チームのサブリーダー)をやって頂こうと思っているのでこの様なロープワークの知識も必要に成ってきます。
まずは通常の1/3倍力システムを経験してもらい、その後システムを構築。更に1/2と1/3を組み合わせた1/6倍力システムを構築、更に更にこの1/6倍力システムをアレンジして色々と試して実際どれだけ要救助者が軽く成るのかなどを実践で理解して貰いました。
ただ高所ラペリング用の10mmロープだと摩擦によるトラフィックテンション(※3)が強くて次回は8mmで再度システムを構築して覚えなおして貰おうと思います、当然の事ですがこれから覚える方は基本のシステムで構築して下さい。
1/3倍力システムとは…?
・支点確保
・ガルダーヒッチ
・マッシャーノット
・ダブルエイトノット
この4つのロープワークとクライムギアを使用して構築するセルフレスキューの基本と成るロープワークです、アレンジとしてプーリーやATC等を使用した物や若干ロープワークを変更した亜種が在ります。
※3:8mm以上のロープを使用するとガルダーヒッチのカラビナがよくズレる為、お奨め出来ません。
場面は更に変わり、結構な斜面です。新人のU氏には基本的な沢屋の知識はインプット済み、更にフィジカルパフォーマンスを向上する為にコナミの10倍楽しむカートリッジ(※4)を後頭部に挿す。するとどうだろう、トニーもビックリの力がどんどん溢れてくるではないか。
不思議な力が湧いてきたぞー(ぞー)、正にカーニバル!!(※5)
※4:昔3スロットの内2スロットに10倍ロム2本を指して見ましたが何も起きませんでした、アシュギーネ最低だな。
※5:どちらかと言えば佐倉魔美さんが好きです。
さあ、何処に居るかこれで理解して頂けたと思います。そうです、梨沢の不動大滝の「左岸」最上部より降下中だったんですね。ピークから10メートル程予備ロープで降下、新たに支点を確保してそこから30メートルのロープを出します。
本ちゃんロープでズリズリと10メートル程降下すると地形的にハングに成るのでそこからはラペリングでズバっと降下します。飛鳥五郎さんを助けに、今。
※ 不動大滝左岸は滑の泥岩質で危険です、真似しない様にお願い致します。
切れ込みの少々上部より望む不動大滝、これは今迄見た事が無いアングルだ。いや、こんな馬鹿な事する人もね、うん…解ってる。残り20メートル程、さして高くは無いけれど滑の壁なので一応気を着けながらハネましょうか。
沢屋さんにとってならビギナーウォールです、低いですし最初のハングでちょっと滑る位でしょうか。クライムギアなどのギミック降下の必要もなくてマッシャーさえ必要としません、普通にエイト環だけでOKです。対岸の右岸でも同様に遊べます、大滝手前の大岩の両岸も結構素敵な落ち込みで楽しいです。
メメントモリィ。
梨沢のシンボリックポイント、この不動大滝でこんな素敵な遊びが出来るとは。我々の様なぴよぴよ可愛いヒヨッ子ちゃんが楽しくラペ出来るこの沢ってば懐が深過ぎんよー、女子力高いっすよー。
作業姿勢に入りたいのか、写真でも撮りたいのか…宙を舞うU氏。余程この場所が気に入ったらしい、2人とも大滝をシャワークライム→左岸をラペリングと狂った様に繰り返す。それはさながらアンテナ売りの兄さんの様だったと言う、なんだかとっても気持ちがいいですねぇ。
※ 真夜中の鉄棒はとても魅力的では在りますが警察の巡回には注意しましょう
恐らく殆どの方が知られていないと思うけれどこの梨沢、江戸後期から大正初期までは房総の山岳産業のメインだった製炭が行なわれていた。付近の相川地区ではその歴史を知る方も居るかもしれないけれど一般的な沢歩きを目的とした方には予備知識として是非知って頂きたい。
それは、
・なぜ大滝の巻きルートが確立しているのか(製炭場所から商品を濡らさずに町へ行く為)
・なぜ大滝にステップが切ってあるのか(製炭場所へのアプローチが早い為)
その他にも枝路や一見ガリーに見える場所が作業道だったり…色々と歴史の深い場所だったります。写真は大滝付近の左岸の山中に残されている野面積みで形成された製炭用の焼釜跡、地表面で作られた物や斜面に小さな洞窟状に掘った物など姿は色々。
歩く地面に捨て炭が散らばっていたら是非周囲に目を配って欲しい、近くに必ずその形跡が見てとれる筈だ。
梨沢を歩いていると結構な頻度で見付ける事が出来る「捨て炭」、川の中を歩くと気付かないけれど山中をふらつくと各所で発見出来ますよ。
この辺の歴史にも興味が沸いて来たので近々行政側と付近の聞き取りを行なう予定です、新しい事実が判明次第追加エントリーにて公開しようと思います。
さて、今回はこんな感じで終了です。新人研修も無事終了、そして新たな情報を提供出来たところで今回のレポートを終了するとしましょう。七ッ釜まで行く事は本当に稀だけれど梨沢さんには今後もお世話に成ります、いやぁ今年も綺麗でした。
本日は以上です。
個人的心情から地図リンクは不掲載です。
アプローチ
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
地図リンク
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
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