千葉県│七ッ釜渓谷 梨沢不動滝
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 七ッ釜渓谷(梨沢 七ッ釜渓谷/梨沢不動滝/大滝/天神山不動滝)
短い山屋や沢屋の季節がやって来た、4月後半~6月中旬(梅雨本番)までのほんの2ヶ月が山では一番良い季節だ。これを過ぎるとブッシュ、虫、水量など色々な理由で入山、入渓し辛く成る。そう、実は夏場って山はオフシーズンだったりするのですよ。
そんなオンシーズンを楽しむべく、約3ヶ月の南米一人旅を終えて帰って来た弟子(2*♀)を引き連れて房総の秘境、七ッ釜渓谷へやって来ました。この場所は良く林道ライダーに好まれるT秘境なんかとは別格の本格的な沢登りが出来る本当の秘境、雨上がりや雨の次の日なんかではシャワークライムも出来るお得なルートが在るのです。
ボディハーネスやロープ、トレッキングステッキなども用意して行ったのだけど弟子(2*♀)は始めての本格的な沢登り、無理をしない様に第一折り返しポイント「梨沢不動滝(大滝とも呼ぶ)」までのルートで楽しもうと思う。
別段隠されている場所でも無いのだけれどもし今回のエントリーで興味を持った方が居たら各自で調べて行って下さい、地図リンクは今回在りません。でもイイですよ、ココ。本当に房総なのかって位の絶景さんがお出迎えしてくれます、もうホントずっと絶景。
ほいじゃ行きますか、七ッ釜渓谷の魅力をご紹介したいと思います。
前日まで降り続いた雨も上がり、本日は絶好の沢日和(山にはマディが予想されて向かないのですよ)、入渓地点から歩き出すと通常より水量の多い河原が眼前に広がる。大小の玉砂利、割れ砂利が入り乱れる、水量が多い時の流れの強さが伺える基調な情報だ。
七ッ釜渓谷はその名の通り大小七つの釜状の擂鉢穴が存在する、その他にも岩底を削るポットホールも彼方此方に見受けれられ、油断すると落水する危険も在るので注意したい。
photograph : saorigraph
入渓して20分も歩くと山深く成って来る、この辺りからゴツゴツした大きな石や岩が増えて来る。アホの天才と名高い弟子(2*♀)が転ばない事に苛立ちが募る、ナニやってんだ馬鹿野郎。
早く転べ、転倒しろ。
oiおい甥…本当にここ房総かよ、千葉県かよ。奥秩父や栃木の川俣みたいな沢じゃねーか。サイレント蛭と呼ばれる房総の山々、知らず知らずの内にヒルにヤラレルのが慣わしとなっているけれどこの渓谷は水量も在ってか一度も刺されない、まあヤマビルは陸生だから水の中に居れば刺されない道理よ。
ああ、それにしても美しき自然達。動脈硬化と真っ向勝負してやんよ。
photograph : saorigraph
所々で深いスリットやポットホールが出て来る、巻いたり越えたりで結構疲れるなこの沢は。しかし弟子(2*♀)が転ばない事に苛立ちよりも不安が立ち込めてくる、普段なら深めのポットホールやらで、
背が足らーん!脳天直撃かっ!
って一騒動在る筈なのにPS並みに出来が良い、こういう時は悪い事が起きる(弟子の調子が良い=世界的に良く無い事が起きる)。気を抜くな、そう背後霊のメガドラ16bitが囁く。
2014年の大雪で梨沢は大きく荒廃しました、その後翌年の2015年の台風17号と台風18号時の増水で更に沢内の岸壁が崩落(特にこの写真の場所は多く崩落しています)。部分的に土砂崩れや流木と流岩で遡行ルートも大きく変化しました、2016年現在迂回ルートも少々荒れているのでご注意下さい。
photograph : saorigraph
やべえ
「この景色はやべえな」
「どの位ヤバイですかねぇ?」
「ウルトラマンがカップラーメン作る位やべえな」
「相当ヤバイじゃないですかぁ!」
ああ、本当にヤバイ。美しいよ、七ッ釜渓谷さん。弟子(2*♀)もクリス・タッカーのモノマネを始める位テンションが上がっている、若干ウザい。
photograph : saorigraph
今でも鮎の稚魚が見られその他にも沢山の小魚、サワガニやモクズガニ、ドジョウなど沢山の水生生物が。野鳥では声から察するにカワラヒワ、ウグイス、ホオジロなどが居る様だ。
沢に流れ落ちる小滝や支流も存在し、これらのアタックを行う事で沢山の生物に出会う事も在りそうだ。彼方此方にはキョンや鹿の足跡が散見出来るのでやっぱりヒルも居るのかな。
photograph : saorigraph
腹が減ったか弟子(2*♀)よ、チントン亭に電話するか?
この七ッ釜渓谷には周回ルートが設定されていてその全長は約11キロ、所要時間は5時間~6時間とされている。途中途中にガレやポットホール、滝(シャワークライム)登りも在るので軽装での入渓は滝手前で引き返しましょうとの注意書きが入渓ポイントの看板に書かれていた。
写真の場所で梨沢不動滝まで半分(入渓地点から)の距離、しかし水量が多い日は倍の時間を見た方が良い。
この地点の景観も大雪と台風の所為で大きく変化しています、岩と岩の設置点がグラついている場所もあるので遡行時は留意して歩いて下さい。
大きくカーブ描く地点で空が開けた、緩やかな登りがまだまだ続く。
しかし写真じゃ伝わないな、この現場に居る時の絶景具合と言ったらもう。弟子(2*♀)が激しくシャッターを切っている、切りながら
「綺麗、素敵、結婚、結婚したい。結婚して楽して生きたい!」
なんて腐ったヤツなんだ…
倒木を歩く事も在る、バランス感覚に優れた(自称)弟子(2*♀)が、
「アタシ、もう踏み外しません」
最近、人生のタイトロープを踏み外したと言う彼女。ブリッジストーンの精神で今後は強く賢く生き抜く事を決心したようだ。
梨沢不動滝手前のゴルジュに出た、このゴルジュは丁度水深が深くなる為に左側の山を巻くかゴルジュの淵を歩くかの選択を迫られる。今回はシャワークライムをするつもりだったので濡れても良い、腰まで漬かる深さをその間々突破した。
水量が多い時にこの場所を突破する場合、向って右側の淵を歩く事をオススメする。巻きルートは足場が悪く危ないし左側の淵はヌメで滑り易い。
photograph : saorigraph
見 え た 。
梨沢不動滝だ、前日まで数日降り続いたおかげで水量が多い。これは久々に楽しいシャワークライムが出来そう、風邪で若干体調が優れないけど兎に角登りたいさー。
と、言っても10メートル位の滝だからザイルもスパイクグローブも無し。初心者さんは必ず経験者を先行させてザイルなりロープなりを垂らして貰って下さい、また上部に先行されて行った方も沢底がナメなのでビレイをお忘れなく。
photograph : saorigraph
これが梨沢不動滝、別名梨沢大滝や単に大滝と呼ばれる事も。岩肌は所々ナメ、ステップやフック出来る場所は比較的多く、水量が少ない時は登るのも降りるのも難しくはない。ただ今回の様に水量が多いと水にポイントを隠されてしまい、ステップポイントやフックポイントが見つけ辛くて時間を食う事に成る。
見ての通り左側からのアプローチだ。
photograph : saorigraph
この水量(※1)じゃちょっと危ないな、弟子(2*♀)は待機させとくか。って事で上部からの写真も撮りたいしずぶ濡れに成りながらシャワークライム開始、頭から水を浴びる。
※1:通常はこの水量の半分位しかありません
滝上部からの眺めはこんな感じ、以外と高さが在って驚く。
弟子(2*♀)に少しだけ経験させてみた、次回はハーネス着けてヘルメット被らせてビレイも取ってシッカリ教えよう。今日は感覚だけ掴んでくれ、そして降りるのに登りの倍以上の時間が掛かりました。
本来の周回ルートであればこの間々遡行して保田見地区を横切り、残り8キロ程を歩く事に成る。今回はシャワークライムが目当てだったのでココで引き返す事に、大滝と七ツ釜にはそれぞれ高巻きルートが用意されているので自信の無い方は巻きで遡行しても良いだろう。
この梨沢は湊川水系相川の源流なのだけれど湊川水系に実に多くの支流、源流の流れ込みが存在する。遡行次第では新しい沢や滝の発見に繋がるかもしれない、実に楽しみの多い水系だ。
[ 注意点 ]
房総と言っても馬鹿に出来ない本格的な沢です、遡行は自己責任で行って下さい。携帯も繋がらない場所での骨折や怪我は大変危険です、必ず経験者と行って下さい。晴天続きと雨上がりでは風景も難易度も変わりますからその辺も留意して下さい。
それでは今回のエントリー「七ッ釜渓谷 梨沢不動滝」を終了したいと思います、お疲れ様でした。
その後、新人研修の場として毎年来訪する定期遡行ポイントに成りました。
個人的心情から地図リンクは不掲載です。
アプローチ
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
地図リンク
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
写真撮影:6Frogs Design Works
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