千葉県│小浦海岸
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 小浦海岸
2016.05.15 - 周辺海岸も含めて久し振りの再訪
小浦海岸を含め、隣接する「長浜海岸」や「釣師海岸」へ7年振りの再訪。大きな景観変化は在りませんでしたが釣師海岸に関しては壁面の崩落が進んでいました、再訪の模様は上記更新バナーをクリックして下さい。
房総半島にはプライベートビーチと呼ぶに相応しい海岸が幾つか存在する、しかしそのどれもが簡単に行く事を許さずにお手軽に訪問する事が出来ない。
例えば絶壁を昇降する、深いブッシュを藪漕ぎする、車はおろかバイクでもアクセス出来ない…そんな非日常を乗り越えてのやっとこさでその素晴らしい風景に出会えるのは本当に楽しい。
今回のレポートでは比較的マイナーな海岸を紹介したい、まあ実は釣り好きの方には有名な場所で4輪駆動車や軽トラなら辛うじて進入出来るのだけど基本はオフ車か徒歩でのアクセスをオススメする。
場所は房総半島、御宿。御宿付近の海岸線には幾つもの浜辺が在り、そのどれもが人気が無くて落ち着く風景を見せてくれる。
それでは面倒だけど行けば納得の「小浦海岸」へいらっさいませ。
地図で確認すると解るのだけど直ぐ近くに海洋生物環境研究所が在る、その対面に小さな獣道が海岸への入口と成る。
初っ端からきついダートを走る事に成るけどオフ車なら楽々クリア出来る、暫く走ると素彫りの隧道が。意外と大きくて迫力満点ですよ、そして結構長いので徒歩の方はお気をつけて。
この隧道には幾つかの横穴が在るのだけれどこれはその昔、海女さんが海岸へ出る為に掘削された物で現在では使用されていない。時期によっては埋没しているので乾季なら確認出来るだろう、んで潜ってみるのも一興かも。
このブログでも何回か触れたけど房総半島には川廻しと言う河川改造工事が盛んで川のバイパスを作って農業に適用させた歴史が在る、今回の隧道は全く関係ないのだけど素彫りのトンネルって房総半島に限り川廻しと関連を疑っちゃうのです。
薄く残る轍、コレは地元のサーファーさんや釣好きさんが作ったもの。一般の方はまず来ない場所なんだけど最近は花火の跡とかBBQの跡とか増えて来た、そろそろこの場所も潮時かも。
道はフラットに見えて傾斜が在り、浮き砂利とマディの複合オフロードコース。また道幅も狭いので運転に自信の無い方は絶対に進入しないで下さいませ。
3分程の道のり(車での走行時間)をゴトゴト走ると車が数台止められそうなスペースに出ます、ココで道は終了。
駐車スペースの直ぐ脇に海岸へ下りるトトロのトンネル様な入口を発見出来る筈、蜂やヘビが居るのでココでも注意深く進んで下さい。写真では大きく見えるけど腰をかがめて通るのがやっとな高さしか在りません、滑落も注意です。
下に降りるとそれはそれは絶景さん、誰も居ない小さな海岸を独り占め出来ます。裏側が直ぐ山な為に野生の動物も結構います、豊富な自然が感じられる貴重な場所でも在るんですよ。
この場所に限らず気をつけて欲しいのは干潮時か干潮時付近を狙って行く事です、満潮時には降りた直ぐ手前まで波が来ます。写真に写っている砂浜も荒れている時や満潮時は無くなってしまう位です。
写真の反対側、この岸壁の向こう側にも海岸が在るのですが名前は無いようです。因みにこの一体の海岸線には歴史的にちょっとしたエピソードも在るので興味の在る方は調べてみて下さい、まあ地図を見たら答えが載っているのですが。
同行者を撮影、夏いぜ。
付近の海岸で過去に取り上げたものが在りました、場所は本当に近くてハシゴも出来ますが結構危険な所なので自己責任で。
千葉県いすみ市 - 長浜海岸(釣師海岸)
http://goo.gl/maps/TrcTO
※ 小浦海岸から長浜海岸まで崖上の山中を歩くコースが在ります、地元のトレッキングクラブやNPO団体の活動でこの隠れた山道が今でもハッキリと残っているので体力に自信の在る方は是非どうぞ。詳細は省きますがウェブ上でも直ぐに解る事でしょう。
他にもラペリングで降下するポイントが幾つか、こちらはそのポイントに行く迄でも非常危険な行程なので経験者のみ挑戦して下さい。
年月とともに表情を失い(?)、気付けば最後の来訪から7年。当時外房の複雑に入り組んだ海岸線に惚れ込み、特に小浦海岸・長浜海岸・釣師海岸は幾度となく通ったものだった。その後地元のトレッキングサークルとご一緒したり地質調査の企業さんと同行して途中で皆で転んだりと楽しい思い出を残してくれた、そして2017年。
「行ってみた」のメンバーも増えて初期の活動範囲での風景をレポートでしか知らない者も出てきた、そこでついで物件として幾つかの海岸を再訪しようと決定。同日のトビ岩キャンプ(※1)の前菜として大波月海岸を含めた同地域の海岸を訪れた、随分と変化した様な当時と変わっていない様な。
自然の力か己の老化(記憶的な)か解らない水面下の戦いが今、はじまる。
※1:当日は午後からトビ岩キャンプを計画しておりました
朝一で大波月海岸をサクっと撮影して懐かしの小浦海岸へ、10年位前は車でギリギリ突入出来たけど流石に今はどうだろう…と進入口から最初の素彫りトンネルまで車を走らせる。うん、一応SUVだし行けそうな雰囲気(根拠なし)だ。
復権の時が来たんだー
心の叫びと共にアクセル全開、勿論ギアはバックにアイムレディ。うひょー。
好天が続いたドライな路面に救われた我々は晴れて車で小浦海岸直前の駐車スペースへ、以前より自然に侵食されて旋回するのが非常に面倒だったが久方振りの小浦海岸に心が急く。
あら^~
満潮に向かう時間帯なので海岸線は長い事歩けないが少々の探索は出来そうだ、しかし記憶の中の小浦海岸と相変わらず美しい場所だ。
裏手に廻ってお決まりのアングルからも数枚、因みにココから釣り(満潮時)したり海にアプローチする方もいらっしゃるとか。
こんな感じで海岸線の壁面には幾つものアプローチホールが口を開けている、開口時期やその理由には諸説あるが地元漁師の方の中には海女さんがココからI can flyしていたと言う昔話を語る人も。
裏手は完全に山岳地帯の様だ、ふと空を見上げるとつば九郎が気持ち良さそうに旋回していた。来期契約では継続してヤクルト飲み放題を願うばかりだ。
満潮が近づいて来た、急いで戻ろう。しかし約7年振りの小浦海岸だったけれどやっぱり素敵だったしこれからも残って欲しい本当に美しい場所だった。
ここでこの小浦海岸について昔話を2つ程。
10年以上前にこの小浦海岸に興味を持ったのは海岸に接する自然のトンネルを写した1枚の写真だった、現在その写真はネットから姿を消してアーカイブサイトでも見付ける事が出来なかった(※2)。
写真の左側の岩場と右側の海岸壁面が繋がっていた様子を撮影した美しいカラー写真だった。
※2:写真が小さいですが当時の様子を掲載したサイトはあります(https://goo.gl/RSXMc3)
丁度こんな感じだった、しかしその当時は砂浜がここまで堆積しておらず、トンネルは干潮時に人がくぐれる程の高さを誇っていた。地元の方の聞き取りでは2007年頃に崩落してしまったと聞く、その当時に是非来訪したかったなぁ。
この崩落について読者さんから以前ネット上で保存した画像(トンネルが残っている状態の小浦海岸)があるので提供させて下さいと1枚の写真を頂いた、保存時期は崩落が囁かれている2007年付近だと言う。私達も後2~3年早くこの場所へ至っていれば見れたのか…。
恐らく隣接する長浜海岸から撮影された物と思われる、と言うのも撮影されたと思われる場所が以前小浦海岸と長浜海岸を繋いでいたトンネルと思われるからだ。そう、以前はこの二つの海岸は干潮時に行き来出来たのだ(現在でも行こうと思えば行けます)。
しかし2011年の地震で崩落、現在はこの場所からの撮影が不可能なので古い写真だとは判別できる…のだけれど2007年の写真かどうかは解りませんでした。
さて、もう一つ。
この小浦海岸に接する小浦地区にはキツネのお話が残されています。
小浦のきつね
https://goo.gl/WJCp6c
話単体では意味が解りませんが地方特有の抑制型(子供の悪戯や犯罪など)の比喩した伝承なのかもしれません、それにしても世界的にキツネとタヌキがこの手(人を騙す)のキャラクターとして描かれるは珍しいそうですよ。
さて、ここに来たならお隣の長浜海岸にもお邪魔しようか。
やばすぎるだろ
この美しさはやばすぎるだろっつってんの、ああ↑?(喜びの怒り)ひょうたん池からのアプローチは何時もながら泣かされるけれど長浜海岸も変わらず素晴らしいプライベートビーチだ、色々と変な噂が付き纏うのがアレだけどねぇ。
10年位前は更に隣の釣師海岸とよく勘違いされていたけれど現在はシッカリと認知されている様だ、驚く事にグーグルマップさんにも正しく表記されている。いつの間にかメジャーな海岸に成ったんだ、人なんか滅多に来ないのに。
※ アプローチが非常に危険な場所なので一人では行かないで下さい
こちらは素敵海岸三兄弟の長男と言うべき釣師海岸(つるしかいがん)、この海岸に至るには概ね3ルートあるのだけれど全てのルートが現在では危険と言える。
① ゲートで封鎖されている正規ルートも崩落の為に進入困難
② 崖上部からラペリングでアプローチ→ラペスキルと装備が必要
③ トラバースで下る地元専用ルート→崩落の為一部の足場が消失
って事でこの海岸に行くのは非常に困難だ、まあ他にもあるにはあるけれどやっぱり危険なんですよねぇ。だけれどラペの場合は斜面がシッカリしてるので比較的楽です、高さもあって楽しいし。
2017.05.15 - 小浦・長浜・釣師海岸の穴について
何か最近このエントリーのアクセス数が増加していて検索ワードに「釣師 穴」みたいな岸壁の穴を調べている様子が伺える来訪者がいます。何故今になって釣師海岸が出てくるのか解りませんが10年程前、現地の人と測量会社さんの方にお話を伺った事があります。
岸壁に開いた穴は昔の漁業で使用した作業道だそうで海女さんが利用したのも同じ穴の様です、また余り一般に知られていませんが漁業道具置場の様な大きめの穴なども数箇所あります。
釣師海岸の斜坑(の様な掘削路)ですがあれも漁業関係だと思われます、よく水路だと言われてますが50年以上前は階段状に成っており、照明器具も設置されていたとの事。しかも現在埋没してしまいましたが類似する掘削路が2本ほど存在したとか、此方は未確認ですが地元漁師の方がおっしゃっておりました。
追加エントリーとして小浦海岸のついでに三兄弟の長浜海岸・釣師海岸とご紹介しました、オススメは面倒だけど安全な小浦海岸です。他の海岸はちょっとオススメ出来ない危険な行程を必要とするのでどうしてもと言う方は自己責任で。
外房にはこの他にも立入が困難な海岸が複数存在します、その内思い出した様にエントリーしたいと思いますが何せ10年以上前の記憶を頼りに行くのでお時間を頂きたく。
本日は以上となります。
アプローチ
国道128号線の御宿駅前交差路からメキシコ記念塔や海洋生物環境研究所へ道なりに進みます、丁度海洋生物環境研究所の対面に小さな枝路が見て取れるのでその場所が入口です。
地図リンク
写真撮影:6Frogs Design Works
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