群馬県│横手山芳ヶ平間 大字入山原野
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 横手山芳ヶ平間 大字入山原野
ゴールデンウェーク前半、もう直ぐ5月に成ろうかと言う時期。都内では20℃後半の気温を記録し、この時期ならと以前より考えていた長野群馬遠征へ。二県を跨いで廃校や廃墟、そして小串鉱山などを回る予定だった。
そういう予定の筈だった、しかし。
本当に酷い目に在ったんだっ!
4月の25日に開通した山間部の県道や国道は軒並み季節外れの積雪で再閉鎖、迂回路で何回国道292号線をあっちゃこっちゃした事か。こうなりゃヤケのヤンパチよ、栃木に抜けてボロ宿にでも泊まってネタレポートでも…だがしかし。
だが、しか→し。
渋峠でやっぱり閉鎖、草津にも抜けれない。もうやだ、帰ろう。だって出発時の千葉県は25℃前後の初夏を思わせる陽気なのにここ渋峠ったらさ、
マイナス3℃
アホか、もう5月よ5月。なんでスキー場やってんの、なに普通にスノボ滑ってんの、こっちゃTシャツなのになんで皆ぶ厚いダウンジャケット着込んでんのっつってんの、ああぁ↑?
ちょっと聞いてよ奥さん、僕の背より道路両脇の雪が高いんすよ。よりに寄って久し振りに廃墟に振った遠征で山装備なんてしてねぇよ、怒チクショウ。
んだどもそうそう簡単に引き下がる訳にもいかんでしょ、ってんで渋峠から見下ろせる横手山~芳ヶ平間の大字入山原野に単独入山、廃仲間は車でお留守番です。山ナビのGPSも生きてるし等高線見ても迷いそうな地形でもなさそう、地図や山案内にも記されていないこの「大字入山原野」を適当に歩いて見る事にしました。
国道292号線を長野県側から走り、志賀高原に入った。この辺から実に多くのスキーやスノボのお客さんが目に入る、リフトもバンバン稼動中。アタシここに何しに来たんだっけか、思いながらコレから歩く山々を撮影。
周囲は皆さんダウンだけど場違いなアタシは空気を読んでTシャツ全力です。
渋峠に到着、この写真は既に閉鎖区間の中。ここはまだ積雪が低い方で高い方では数メートルに及ぶ、黒部のアルペンルートを思い出すなぁ。
それでは早速入山します、何も無いけれどアタシは元気です。
※ ルートが存在しない為入山ポイントなどの地図リンクは今回在りません。
比較的積雪の少ない場所から雪尾根を2つ程越えて原野に入る、今回一番苦労したのがスノーシューが無い事。雪にトレッキングスニーカーのフルテンション、何度胸まで雪ズボしたかっつーの。ゲイター無いし靴下ズブだっつーの、兎に角寒いっつーの。
雪深く成って来た、勿論足跡なんて一つもない。そもそも夏場でも人が入らない様な場所だ、こんな雪深い場所にこの時期で人が入る訳が無い。僕以外。
通常ならスノーウェアにトレッキングギア各種で挑む雪山アタックだけれど今回はそこまで深入りするつもりは無かったので山岳会を除名される様な格好でこんな場所に来てしまった、皆さんも雪解け時期の冬山は入念に計画してから入山して下さいませ。
…。
こりゃースゲーや、ホントに美しいですよ。来て良かった、重曹でも激落ち君でも落ちる事が無かった僕の心も洗われていきます。
はぁ、Sigur Rós聴きてぇ。
いよいよ普通の装備じゃ歩けなくなった、歩く度に腰の辺りまで雪ズボする様に成って来て歩き進むのがホントにしんどい。この辺を撮影ポイントとして何枚かの絶景さんを頂きます、残さず頂きたい所ですがそれはまたの機会に。
本日はこの辺で帰路に致しましょう。
雪風が当らないとこんな感じで緑が顔を出す、戦闘妖精じゃないんよ。「せっぷう」よ、B-503じゃないんだからね。
さて、このマッシブさんを素手で登ります。グローブ忘れたんだよ、チッ。
やってもた、迷った。なんか沢に出てるし、水冷たいし。外気温マイナス3℃やし、どないしよ。
水の流れの方向と枝の伸び方向で方角の確認、GPSと照らし合わせて復帰路を模索する。ガレ具合から考えて夏場でも水量は少ない沢だろう事も解る、少し沢沿いに歩くか。
影は雪の斜面、日照りは緑と余り見ないコントラストだ。ガチ場のフックが増え始めたのでそろそろ登る場所を決めようか、そうこうしてると丁度大きなステップを発見。ココから復帰しよう。
少し登って歩くと別の沢に合流した、風景が高原の原野らしく成って来た。どうやら復帰出来そうなルートを開拓出来そうだ、後はGPSちゃんに頼るしかない。
だんだんと雪深く成って来た、実はこれが正解で入山地点より少々西側に出口を設定した為に丁度積雪の多い低い谷の部分に出れれば良かったのだ。なのでココから少しづつ雪原を登る感じで雪景色が一層白く成ってくれれば一安心。
途中でみた雪原風景と同様の地形に成って来た、ココまでくればハナクソ穿ってたって脱出出来る。出来るのだけどグローブ忘れたから凍えて指動かんよ、鼻が穿れないじゃないか。
っと、実の無い雪山登山を終えて無事国道292号線に復帰出来ました。閉鎖区間を少し歩いて車のデポ地に到着、廃仲間も直ぐ見付かってやっとこ本当の帰路に入る事が出来た。
帰りの高速でウニモグ見たりジュリアのGTSとおっかけっこしたり最後まで楽しめた遠征だった、だったけど当初の予定は一つ(長野の廃校)しか消化出来なかったのが心残り。初夏の頃にでも今回の予定をもう一度回ろう、流石に閉鎖道路もなかろうて。
雪山登山に関しての注意点
登山経験豊富な者でも雪山と成ると話は全くと別に成る、まずはウェアや装備。雪山は本来の地形とは全く別の「雪原風景」を構築する、と言うのも地形通りに積雪する訳では無くて風や気温に因って様々なイレギュラーマップを作り出してしまうからだ。
例えばピークを歩いていても本来より風に押された場所に”ピークに見える雪の尾根”が形成され、地面と勘違いして歩いたらその間々滑落する様な事故も実に多いと聞く。また通常のトレッキングギアでは使用しないスノーギア(スノーシューや防寒ウェア)も必要で歩き方にも独特の知識と経験を要する場合が在る。
この様に同じ場所、同じ天候でも現場が雪化粧しているだけで行動規制が実に沢山発生し、そして何より危険度が急激に上昇する事を良く理解して欲しい。
もし雪山登山に興味が在るならば北横岳の様にヒュッテまでロープウェイで行けて比較的歩いている人間が多い場所から始めて欲しい、個人的に冬季オンシーズンの北横岳は景色も手軽さもオススメで是非歩いて欲しい所でも在ります。
アプローチ
国道292号線渋峠、本来今回のレポートの登山ルートと言うルートが存在しない為に同様のルートでのアプローチは推奨出来ない。付近には別途行政が定めたルートが幾つか存在する為、そちらを登山関連書籍などを参照して歩いて欲しい。
地図リンク
http://yahoo.jp/0-CZhI
photograph - nee