千葉県 │ 君津エースゴルフクラブ - 再訪
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 君津エースゴルフクラブ - 再訪
2013.05.30 - 私設道板の設置を確認しました。
入口からゴルフ場内まで廃橋上に事業計画と関係ない私設の道板が設置されている事を確認しました、2013年初頭には無かったのですが現在は木板が並べられて容易に渡れる様に成ってしまいました。
この板の設置によって装備をしなくとも橋上に至れる為、落下事故などの心配が予想されます。オススメはしませんがもし行かれるので在ればシッカリと装備をした上で行かれた方が良いと思います。
行って来ました、君津エースゴルフクラブの廃橋の再訪エントリーです。前回は廃橋の中盤でビビリが爆発しておっかなびっくりで帰って来た、これがどうしても気持ち的にうにょうにょして気持ち悪くて再訪と成ったのです。
レポートに入る前に前回のエントリーのリンクと内容をザックリとまとめたコピペで再度お勉強、予習復習大切です。
房総の山歩きには有名な廃橋、君津エースゴルフクラブの工事車両搬入口として作られた橋がそうだ。その廃橋は本来ならゴルフ場として運営される筈だった敷地内に延びる谷越えの橋、近年に成って廃墟系や廃道系のウェブサイトや雑誌などで取上げられた事もあって知る人が多くなった場所だ。
君津市は片倉ダム、笹川湖に2001年に整備された新しいダムだ。そのダムから程近い立地にゴルフ場建設計画が立ち上がり、建造途中で計画が頓挫。この場所、本来は「君津エースゴルフクラブ」として開発が予定されていた土地で1991年7月1日に着工、1994年3月31日に完成の筈だった。
ゴルフ場が乱立する千葉県において当時の時代背景を考慮すると既に十分な集客を見込めない事は解っていた筈、どのゴルフ場も収益の下方修正を始める頃だ。バブル崩壊直後なのだけど君津エース株式会社は暫く無理矢理な工事を進める、結果1993年には止まっていた工事が1997年に完全に終焉を迎える。
これが前回のエントリーの冒頭のまとめとなる。
まあ内容はエントリーのリンクを踏んで頂いて確認して欲しい、冬場って意外と廃墟とかのオンシーズンなのだけど探索より写真をメインに訪れている身としてはどうしても自然のグリーンやら紅葉の彩りが欲しくなってしまう。
なので冬季のエントリーはどうしてもヒル地獄や薮地獄、蟲地獄に悩まされない山歩きなどがメインで後は冬景色のエントリーなどを行っていた。
最近は持病のヘルニアや坐骨神経痛が酷くなって来て山歩きもシンドイ、なら楽に歩ける冬季にやっちまおうと考えてこの様な廃墟としても探索としても中途半端な物件を選んでしまうのは仕方が無い事なのです。
許して。
それでは早速行きますか、約1ヵ月振りの怒チクショウ「君津エースゴルフクラブ」の廃橋と造成区域の放置っぷりレポートです。
結構大きな敷地ですが残留物はそんなに在りません、廃橋と広大な敷地、幾つかの廃車両。更に言えば自然問題、これらが今でも残っています、そんな君津エースGC。空撮で敷地内を簡単にご紹介しましょう。
撮影ポイントとしてはこの3箇所を重点爆撃、滞在時間の殆どはジャングルジムと成る廃橋でしょうか。
今回はね、万全なのです。久々に本格的な登山用具(クライムギア)を持参、こんなんロックやガレ場を久しく歩行してない身としては久し振りの登場です。
と、言うのもただ渡るのは芸が無いので得意分野の登山の経験と知識を生かして以前撤退を決め込んだ橋の途中で谷へ降下(ラペとかリペとか)しようと試みたからだ。今回は登山経験の在る仲間も拉致ってのリベンジってのも在って少しアトラクション要素を取り入れてみた。
今回の相棒は以前こんな所にも行った。
ここはヒル地獄…いや天国です。季節に注意してアタックして下さいませ。
最初は勿論廃橋さんです、場所は道路から100メートル程のココ。
なんと当日は雪、現地に行くまでに道路の凍結や千葉県では珍しい銀世界に驚きつつも何とか現地に到着した。
ご無沙汰してます、1ヶ月振りの廃橋さん。一緒に行った仲間は脅威の身体能力でハーネス無しでもトコトコと渡り始める、センターフレームの8センチ弱の鉄骨だろうがトラスだろうが関係ないみたい。
ぶっちぎりじゃないすか!マジかっけーっすよ!
僕も数回センターフレームの鉄骨に挑戦して歩いたけど中盤では心臓が粉塵爆発しそうで2度とやらない事を決めました。
で、どの位の高さかと言うと…
口から砂を吐きそう。
この位です、解るかなぁ…。高さは30メートル~35メートル程、意外と数字にすると低く感じるけど住宅建造物の高さにしたら15階~16階に相当する。純粋な高さと言うより自然に囲まれた開放感が更に高さを引き立ててるのですよ。
さて、ここからはホントに危ない。ハーネスをシッカリ使用しながらレッツ降下。
相棒さんです。
おい、さっき「ハーネスをシッカリ使用しながら」って言ったのに。君は何故ハーネス掛けないの?
「邪魔だから」
だ、そうです。心配する僕を気にせずに彼は語る。
「大丈夫だ、問題ない。イザと成ったら服を脱ぐ」
何言ってんだこの人。
好きな食べ物はシケた「ばかうけ」だと言う、頑張り過ぎてレジェンドに成らん様にな。あと服を脱いだらしっかり畳むんだぞ。
降下開始。
おっかねーっすよ、せんぱーい。
こりゃ予想以上に怖い、ホントに怖い…けど愛してる。脳内にはイケナイ物質が生産されまくり状態で気持ち良く成って来た、本気出せば飛べる気がしてきた。飛ぶか、飛んじゃうか…選択を迫られる僕は同じ結果だと言う事に気付かない。
丁度谷越えの脚トラスを降下している、この橋を渡る事さえ頭がアレ気味なのにこのトラスにぶら下がったり側転したりハンドブロックでプラプラ降下しようなんて馬鹿はきっと居ない筈だ。
大人にとってのジャングルジムは命懸け、僕はちゃんとハーネスをしております。
今まで上を渡って来た入口側の廃橋を下から撮影、このアングルは恐らく誰も撮ってないよねぇ。
あれ、そう言えば相棒は何処に。
居た。更に下ってた。僕は沢屋なのだけど彼は岩屋、彼のお父様もクライマーらしく親子揃って身体能力は高い。しかし危機管理能力は低い様で在る、当初橋の中央部で彼の格好良い写真を撮る予定だった。
このポーズである。
しかし結構危ないし万が一の場合「わりとどうでもよくない」事態が発生する恐れが在り、今回は断念したが次回の訪問(既に企画中)時にはポージング撮影をメインに素敵な「人と自然の一体化」写真をお見せ出来ると思う。
身を乗り出して下方を撮影、相棒は更に下でカメラを対岸に向けていた。80トンまで耐えられる鉄骨は現状でもその性能を保持している様だ、錆びも意外と酷くなくて足場としては安心して昇降出来る。ただ当日は雪だったので橋の上は若干濡れてたり凍結してたりで正直1度滑りました、ハーネス万歳。
渡りきった、途中遊んでも時間的には速いペース。幾度と無くガレ場や複雑な沢を経験してきたので難易度としてはチョロイレベル、ただ高くておっかないのは確かでした。
さて、ココからは前回行けなかったゴルフ建設が中断してしまった区域に入ります。実質1993年に工事は中断、今から凡そ20年前の工事現場と成る。しかしそれにしては随分と放置車両が古い、工事車両の他にも関係者の車両の草ヒロさんが転がっていたけれど80年代の車とトラックやタンクばかりだった。
この区域に工事中断後に車両が進入出来るルートは無い、山間部にオフ車のエキスパートルートが数本在るだけ。よってこの区域に転がっている車両は全て当時の関係者の者だろう、興味本位で車検証探したけど当然のごとく在りませんでした。
移動します。
空撮写真じゃ解らないと思うけどクソったれな程広い、歩くのがシンドイっすー。
ゴルフ場建設予定地に入る、沢山の問題を山積した会社が運営していた(運営しようとしていた)工事現場だけに何も無い様で当時を窺い知る情報はちょいちょい残されていた。
まず地形の造成を随分とザックリ行っている事、ゴルフ場の場合芝生と樹林を上手く育てなければ成らず、その土地の生成をよく理解してから工事をするのは当然の事。しかしこの工事現場はその土壌の悪さ(自然としての悪さではなくてゴルフ場に向かない土壌と言う事)を無視すると言うか無理やりと言うか…自分自身専門知識が在る訳ではなくて卓上調査で解った事なのだけど造成方法や使用した薬品などに沢山の問題が在った様だ。
帰宅してから実はこのゴルフ場に関する資料を入手した。その一番の問題はやはり土地造成に関する問題で当時も工事関係者を中心に疑問視する声が上がっていた様だ。
いよいよ一番撮りたかった撮影ポイントの「ポツンと廃車ゾーン」へ。
この区域に来たのはこの写真が撮りたかったから。
本来なら廃橋で遊んで終わりにするつもりだったのだけどこの「絵」を撮りたくてココまで来た、この辺はすでに区域の端で付近には幾つかの登山道が顔を見せている。
目的は果たした、それでは戻るとしますか…と、言っても廃橋をまた渡って帰るのは面白くない。それなら斜面を降りて登山ルートで帰ろうと準備開始。
ゴルフ場側の橋の脇から下に降りる事が出来る、ここから登山ルートに合流出来るので笹川まで降りる事にした。
斜面を降りると廃橋の高さが良く解る、やはりそれなりの高さが在った。この辺はオンシーズンにはヒルの天国なのだけど登山装備で新緑の中で撮影したいと強く思った、まあその前に廃橋にはもう一度アタックしに行くのだけどそれとは別に山歩きを楽しみながらこの場所に別ルートで訪れたいと思う。
笹川まで降りた、実はこのゴルフ場建設で一番の問題がこの場所(と、言うか一番解りやすい場所)なのです。
房総の滝を隅々までレポートされている滝マニアさんのサイトが在るのだけどそこでもこの場所について書かれていた。なんでも土砂流出でこの付近の滝が何本も消失したのだとか、本来沢屋な僕にとって滝は大好物の一つ。
また区域内全体に土壌凝固剤が散布され、深刻な土壌汚染となった。現在の様にドクトールの様な良質な土壌改良不溶化剤が無い時代、六価クロムが多く含まれた薬剤には現在とてもシビアなリスクマネージメントが必要だ。
土壌汚染は付近の水源汚染にも繋がる、現在この笹川には片倉ダムが在り、勿論房総の水源の一つとして、水害を防ぐ水防ダムとしても機能している。しかしゴルフ場建設予定地付近では樹木が痩せ、川の流れも土砂流出で細く成っている。
1990年代後半、ダム建設時にも水質調査が入っている。結果は意外な事にソコまで酷くなかった様だが時間経過によるモノだとしても土壌の深い部分で流失した薬剤が種火の様に残っている事実は変わらない。
見上げてみた、よりによってあの場所を登ったり降りたりして更には渡って来たのか…。
「マジでか!」
さて如何でしたでしょうか、終始自分達がでっかいジャングルジムで遊んでいる写真でしたがウェブ上ではまず見なかった君津エースGCの廃橋をお見せ出来たかと思います。
前回も書きましたがこのゴルフ場についてと注意点を書いておきます。
君津エースゴルフクラブ
バブル崩壊で1991年着工1994年完成予定だったゴルフ場、この橋はその工事運搬車両用に用意された。鉄骨トラス構造、使用期間は2年間でその後廃棄前に上部鉄板が剥離され現在の状態に。
廃橋は誰が着けたか「線状にかける橋」なんてセンスの無いネーミングで呼ばれている様です、この橋はあくまで工事運搬車両用の物でゴルフ場の入口と成る場所は別に設置される予定でした。
この広大な土地は競売に掛けられ、鹿島プレミアゴルフ倶楽部(委譲時はグレンピークマナーGC)の所有へ。その後更に産業廃棄物処理の企業へ土地の権利が移り、周辺では産廃工場反対の看板が数箇所立っています。
当初の施工主、君津エース株式会社は倒産しており、このゴルフ場の当初の図面や計画書は発見出来ませんでした。出来れば絵に描いた餅も見てみたかったのですが…。
注意点
・この橋を渡るのはオススメしません、結構危険です。
・対岸には登山道(歩道)と酷道(オフ車可)のルートが在ります。
・橋の下には簡単に行けますが川を渡るのは止めた方が…。
前回お約束したカヤックのアプローチルート、もう少しお待ち下さい。実際に船降ろしてみて湖に安全に出れるか確認してからにしてみます。
2012.01.07 - ちょっと色々と計画してます。
春先にこの廃橋を真夜中に撮影しようと計画しておりまして、んで最近ですが夜間に行って来ました。いや、凄いわホント。何が凄いって「凄い怖い」、あの高さであの暗さは無いわ。しかし、やります。綺麗な廃橋を撮影します、今回下からアプローチしましたが登るのも結構大変でした、暗くて。
2012.05.13 - 満月過ぎ、ヒル多過ぎ、だけど素敵過ぎな夜撮。
やりました、夜間撮影。スーパームーンの為にバルブ撮影は叶いませんでしたがそれなりに綺麗な写真が取れましたよ、しかし既にヤマビルの活動期、落ち着いて撮影ってのは少々キツイ状況でした。またもう一つ馬鹿写真も撮影敢行、当日の模様は下記よりどうぞ。
アプローチ
久留里街道として知られる県道24号線を片倉ダム(笹川湖)方面へ、房総スカイライン有料道路を使えば終点(始点)が片倉ダムの直前です。県道24号線から三石山へ延びる道を暫く走ると「産廃反対」の看板が大きく立てて在ります、そこが入口です。
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