千葉県│小櫃川水系七里川支流 キンダン川
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 小櫃川水系キンダン川(七里川渓谷/キンダン川の川廻し/緑の回廊)
今年もやって来ました山の季節、去年は同じ房総半島で七ッ釜渓谷の梨沢不動滝をこの時期にレポートした。県下の沢では別格に美しい七ッ釜渓谷だったけれど今回のレポートで取上げる小櫃川水系七里川支流のキンダン川もそりゃーもう。
房総半島を縦に横にと蛇行する小櫃川、千葉県では利根川に次いで二番目の長さを誇る88キロの2級河川。特に詳細を記す川でも無いけど一応下記参照。
ウィキペディア - 小櫃川
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%b0%8f%e6%ab%83%e5%b7%9d
キンダン川は清澄山を源流として小櫃川の支流である七里川、そのまた支流となる細く流れの薄い川だ。川廻しに利用されるだけあって過去には山間部の農業開拓に色々と人の手が入っている、と言うか房総半島自体(上総一帯)が川廻しでの独自農工が発展した土地なのだから殆どの川が川廻しに利用されていると考えて間違いない。
なので沢屋としては純粋な自然造形物ではないけれど「川廻しの隧道」をアチラコチラで散見出来るのは嬉しい限りだったりする、今回のキンダン川もそりゃー綺麗な川廻し隧道ともっさもさの自然、そしてゴルジュを堪能出来る素敵な場所なのです。
房総の沢屋には有名過ぎるこのキンダン川、まだ知らない人も含めてその美しさを知って頂くとしましょうか。
キンダン川の出合から入系、場所はココだ。この場所はキンダン川は元よりずっと昔にレポートした千葉県では珍しい廃村「湯ヶ滝集落跡」へ向う為のスタート地点でも在る、今回の遡行でついでにと湯ヶ滝にも寄ったけれどその模様は新規レポートとして公開しようと思う。
それでは歩き始めるとしましょうか。
キンダン川は比較的ガレも少なく、浮岩も大きく無いので歩く事に集中しなくても遡行に不安はないのが嬉しいポイント。つまりは周囲の風景を楽しめる余裕を持てるって事だから撮影しながらの沢歩きにはウッテツケ、沢の難易度としても5段階評価で1レベル。正直初めての沢歩き(ガイドレス)でも殆ど問題なく在る事が出来るビギナーにも楽しいコースだ、出口と成る「池ノ沢歩道」からも少し歩けば県道に出れるし出口付近には「西原バス停」も在るので交通も便利。何よりデバイスレスで歩けるから気軽ってのが一番。
しかしそうは言ってもやはり自然、装備と道具は準備して歩いて貰いたい。
入系すると房総半島ではお馴染みのナメの波床が姿を現した、所々にポットホールが在るので注意して歩く。
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本流からキンダン川出合、支流と成るキンダン川へ入ります。入って直ぐは浮きゴロで足を取られ易い、ソールの薄いブーツやシューズだとちょっと痛いかも。
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出合いの入口部分には以前では無かった「キンダン川」と書かれた簡易標識、ホームセンターのバーコードが貼られた間々ってのも素敵。この先は多少のナメですが特に問題視する様な場所は在りません、ジャバジャバしながら進みましょう。
いやぁ房総とはいえヤハリこのキンダン川も美しい、昔から比べればガレが進んできてはいるけれど初心者でも踏破出来る貴重な沢だ。
水量が増えて来た、この辺から覚悟を決めて足を浸ける。ルーファン次第では腰まで浸かるスリットやポットホールも散見、ガレも大きく成って来る。アタックでハイドレーション関係だけなら良いけどパッキングされている方はポール持参の方が安心かもです。
湯ヶ滝集落跡へ続く山道前、ココには白岩館の温泉の汲み取り施設が小さく音を立てていた。足元には旧道から集落へ続く橋が掛けられていたのだけど現在はこの通り、細く痩せた橋梁柱の跡。
実はこの後に湯ヶ滝集落跡にも再訪している、冒頭でも書いたけれど新規エントリーでその時の模様を記載するので興味のある方は予習として是非下記リンクより以前のレポートを。
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怪しく成って来た、近年の土砂崩れで途中埋没箇所や酷い倒木ゾーンが在るとは聞いてはいたけれど。コリャ結構なお手前が予想される感じ。
ボルタリングの練習中に負傷した相棒が顔に手を当てて
くっこのプレッシャー
とか言ってる、つまりは足が痛いらしい。
こいつぁやべぇ。
普段なら素敵な天然ジャングルジムを楽しむのだけれど負傷してる相棒はそうはイカのキンタマよ、つるっと滑ろう物なら帰りはピックアップってな事に成りかねない。
「行けそうか?大丈夫?」
「最強です」
そうすか。
おい、何時まで続くのこの倒木ゾーン。倒木自体はガバカチだけど面倒臭ぇよ、こうなって来るとトレッキングステッキが邪魔に成って来る。ヤハリ人間は手足が最強のツールなのです。
「そうだろ、相棒」
「最強です」
そう…す…か。
レベルとしては蚊が刺した程度の難易度、ただ面倒なだけの倒木ゾーンを抜けた。コレで少しは遡行速度も上がるだ…ろう?
あれ、またか。またなのかっ。
まただった。
しかしここも「最強」の言霊で乗り切る事にしよう。
「最強さん、最強ですかー」
「あ、ちょっと足痛いです。もう帰りましょう」
ヒヨった。
もぉういやぁあああ
さて、本日メインの撮影ポイント「キンダン川の川廻し隧道」へ。
ここ数年で随分と崩壊が進んだのか、昔に来た時は立派だったのにこんな姿に成ってしまったとは…ヨヨヨ。まあでも折角来たのだからアングル決めてかっちょええの1枚撮ろうさね。
と、言っても。土砂がどしゃってるので大して迫力ある「画」は撮れなかった。また川廻しの所為で元流は涸沢化している、現在の本流も大分水量が少ない。
川廻し上部から、向こう左折れで沢が続く。撮影中も岩が大きく崩れてその音に驚いた、ちょびっと漏れた。(帰りには尿漏れパンツを購入しよう)
今回の目的はこの川廻し、それから七ッ釜渓谷には及ばないものの素敵なゴルジュを撮影したく思いまして。房総のゴルジュは狭くて迫力には欠けるけれど何と言いますか、こう歩いていてテンションが揚がると申しましょうか。退屈な沢歩きから突然現れる事が多いから余計に綺麗に見えるのですわ。
過去には同じ房総半島でこんなゴルジュへも。
ああ、「間滝」はホントに辛かったなぁ…もう2度といかねぇ。
現在地はココ、まだスタートしたばかり。ココからは暫く退屈な沢歩きが続きます、いやホントに何も無いの。
川廻し隧道を降りて相棒の足の状態をチェックする、やはり本当に痛い様で無理はさせられない。何よりは翌週に以前敗退したケイブアタックが控えている、と言う事で。
今回はこの短い区間だけでUターン決定、帰り掛けに湯ヶ滝集落跡に寄って本日は終了です。近日中に「緑の回廊」と呼ばれるキンダン川のゴルジュへ再訪してきます、このエントリーに追加するので暫くお待ち下さい。
アプローチ
千葉方面からだと国道465号線から養老渓谷入口、県道81号線へ。安房天津方面からも同様で国道128号線から同県道(清澄養老ライン)へ、県道上の温泉施設「白岩館」を目印に。入渓ポイントは付近に3箇所、札郷トンネル脇の階段か白岩館付近の急カーブのエスケープゾーン。または白岩館付近の橋脇から沢への踏み後が在ります。
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