千葉県│県内某所の素敵岩場
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 県内某所の素敵岩場
全国にガバスが溢れる素敵なクライミングポイントは沢山在るけれど、関東平野の雄とも言えるペッタン地域”千葉県”においてはクライミングポイントどころかまともな岩場さえ見つけるのは困難を極める。それは千葉県独特の岩質(※1)所為もあって脆い岩肌が登攀に向かない事に起因します、そんな中歴史に名を刻む素敵な岩場が実は存在します。
房総半島で、しかもクラックを楽しめる貴重な岩場。しかしここはバーチカルセットな為に三点支持などの基礎講習には向きません、ビギナーを育てる素敵な岩場…そしてロープも出来たら。そんな幸せな岩場が在ったんですよ奥さん、やたー。
が、しかし。
非常に危険アプローチと立地な為に詳細な場所を記載するワケにいかんのです、県内の経験者さんなら割とご存知の方が多いと思うのでどうしても行きたい方は山岳会経由かクライミング団体に所属して経験者と一緒に来訪して下さい。まずはその絶景に圧倒される事でしょう、それでは予備知識はこの辺でエントリーを始めましょう。
※1:房州石(特に金谷石)は防火性に優れ、そして加工もし易い。それ故自然界においての岩肌は脆く、砂岩質でテンションは見込めない為クライミングの岩には不向き。切り出し面が非常に美しく、江戸城(現在の皇居)や靖国神社などには実に沢山の房州石が使用されている。
意識他界系の我々が今回訪れたのは先の説明にもあった房州石の採石場所からそれほど遠くない山中、一般通行の道では無い枝を上り切ると不意に眼前が開けます。そしてその場所には日常では味わえない絶景が待っていました、ところがどっこい現実です(歓喜)。
それではまずはロープ講習から始めましょうか、フィクスポイントからトータルで40メートル位の岩場で3段階のテラスを持ち、更にハングのセンター両脇にはビギナー向けのステップ+バイトがガッチガチのルートとバーチカルに近い本気登攀ルートが。更にハング最下部では空中登攀の練習まで出来る贅沢仕様、ここ気に入りました。
いや、確かにレベル的には非常に低いけれど立地が素敵だ。何れとある計画を実行に移す候補ロケーションとしておこう、何より美しい(※2)。
※2:とても美しい絶景ポイントなのですがロケーション保護の為に寄りの写真多目です、兎に角危ない場所なので一般の方は場所が解っても絶対に降下しないで下さい。救助困難地形で落下したらまずセルフレスキューは見込めず、まあ死んじゃいますホント。
今回もメンバーは新人のU氏と、そろそろ新人卒業やね。まずは前菜として初のダブルロープでのトラフィックが掛かった状態での懸垂降下、余りのテンションで制動が利き過ぎる怖さも体験して貰いました。そう、慣れると在る程度降下距離と速度を自分でコントロール出来るので不意の制動力が意外と邪魔に成ったりするんです。
さて、そこからは右壁のビギナールートで上り返し。が、そこで何やら光り輝きながら蠢く物体を発見。
タマムシさんじゃないですかぁっ。
子供の頃は何処でも見れた昆虫だけれど最近はメッキリ減っちゃいましたねぇ。それにしてもそうか、確かにこの場所には榎が多い、しかも随分な高所。榎と高所はタマムシさんの絶好の観察ポイントでしたわ、正式にはヤマトタマムシと言う名前で国内にはこの他にも沢山の種類が確認されています。個人的にはクロホシタマムシが好きで是非お会いしたい(※3)タマムシさんです。
※3:他にも子供の頃はウバタマムシとコメツキムシの違いが解らなかったけれど今なら解る、是非この辺ともお目通りしたいところです。
流石にノーロープで上らせる程現場を踏ませてない、アンカーやハーケンで確保しながらや三点支持によるムーブやステップの使い方、バイトポイントの要点などを説明していく。
ロープに関してはフリクションを使用した登攀練習とシングルでのマッシャー、ダブルでのマッシャーでどれだけ制動力が変化するか、またクレムハイストなどの強いトラフィックを生む類似フリクションも体験して貰った。
もう2度とやりたくない10mmロープのダブル、これ本当に鬼制動で全然降下してくれない。安全っちゃー安全だけどこの太さだと作業姿勢の為にエイト環に回せないし結局はシングルの操作性を重視した方が楽だったと言う結果に。
眼下に見えるのは2段目のテラス、結構な広さが在るので一休みには最適です。
セルフビレイを取ってフリー登攀、砂壁の為にステップは崩れるしバイトは砕けるし。それでも凹凸を上手く利用して壁面に出来る限りテンションを掛けずに上る感覚を身体で覚えて貰います。
今後この場所では6月(2015年)から参加の新人さんの練習や平行して計画している撮影計画の候補地として色々と検討中です、これは今夏には実現させるので近い内にアナウンスさせて頂きます。
4時間程遊んで撤収です、この後は別の岩場訓練の候補地を視察して”ばんや”まで車を走らせなくてはいけません。そう、ばんや(※4)では新鮮な魚介類が僕らの到着を待っているのです。
※4:漁協直営鮮魚食堂ばんや、南房総の有名な漁港食堂でバイクツーリングの時にもお世話に成ります。近年では温泉施設も出来て1日ゆっくり出来る非常に根を生やしやすい場所なので要注意、休日はとても込むので時間帯をズラす事をオススメします。
漁協直営鮮魚食堂ばんや
http://www.banya-grp.jp
さて、今回は房総では珍しい本格的な岩場の訓練場所をご紹介したのですが如何だったでしょうか。そして繰り返しお伝えしたいのは未経験者の安易な来訪です、本当に危険な立地でもし命を落とさずとも怪我をして歩行不可能な場合はそれだけで大事に成ります(恐らくヘリ救助しか方法が在りません)。
通常の陸地からの救助はまず不可能です、僕らは山岳保険(内1つは特殊なスポーツ保険)を3重に加入してこの様なロケーションで遊びます。自己責任だけでは賄いきれない高額な救助費用が掛かるスポーツでも在ります、なので場所を特定しても出来れば来訪は控えて頂きたく思います。
または地元山岳会、クライミング団体、経験豊富な方との複数人での同行、これが来訪時に望ましいと断言出来ます。しかしそれらの面倒な手続きや準備、装備やリスクをクリアして訪れた時にはきっと素晴らしい風景が待っている事だと思います。
県内の山岳会でもこの場所を知っている団体は限られていますが地元クライマーなら恐らく有名なポイントとして語られているのでどうしても行ってみたい方はその辺からアプローチしてみるのも良いでしょう。
本日は以上です。
アプローチ
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
地図リンク
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