鹿児島県│曽木発電所跡(曾木発電所跡)
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 曽木発電所跡
九州の極上有名遺構物件、鹿児島県に残る「曽木発電所跡」を今回は取上げようと思う。と言っても余りに有名でしかも観光地化されている事も在り、今更感は否めない。それでも内部を紹介したレポートは少ない(※1)のでご紹介する事に、歴史など遺構に関して詳しい事は他のレポートサイトに沢山情報が在るので探してみて下さい。
※1:2012年現在では余り多くありません
それでは「曽木発電所跡」のレポートはじめましょう。
川内川の岸壁上に在る展望台からよく撮影されるアングルじゃあどうしても物足りない、そう言えば以前内部を撮影したレポートが転がっていた様な。それならウチも内部を撮りたいじゃなイカ、って事でお邪魔しまーす(※2)。
※2:内部は危険な為、撮影には許可が必要です
近年まで土砂に埋まってた部分、岸壁整備と遺構補修で建物が久し振りに姿を現したのは最近の話なのです。展望所のアナウンスボードを転載するのでお暇な方は是非。
曽木発電所から学ぼう
明治40年(1907)、曽木の滝のすぐ下に曽木第一発電所が完成し、大口に始めて電灯がともることになった。出力は800キロワットであり、大口にあった3ヵ所の金山の動力源や近郊町村の電灯用に供給しても、半分の電力でまかなうことができたため、余剰電力を送電して水俣にカーバイド(漁船や自転車の点灯燃料)工場を建設した。
明治42年(1909)には、第一発電所に代り、約1.5km下流に発電量約6700キロワットの第二発電所が完成した。レンガ造りの洋風建築の発電所もさることながら、ドイツのジーメンス社製の発電機の導入や5つのトンネルや水路橋を持つ約1.5kmの導水路建設が示すように、一大事業であったため、全国から技術者や作業員が集まり、下ノ木場集落は再び活気に包まれた。
曽木の滝右岸から取水し、現在の曽木の滝公園下、下ノ木場地区へと続く導水路を流れて、発電所の4本の水圧鉄管から一気に落としていた訳であるが、現在でも発電所やヘッドタンクの一部、水路やトンネルの大部分が残り、スケールの大きさを物語っている。
鶴田ダム建設にともない集落は移転し、約60年にも及ぶ発電所の歴史も幕を閉じ湖底に沈むこととなったが、水の力を利用した発電はクリーンな自然エネルギーであり、また電気化学工業の発祥のきっかけとなった曽木発電所は、湖底から現代に静かにメッセージを送り続けている。
稼動当時の曽木発電所。
釣り客にも人気の正面岸壁、冠水時には遺構全体の3分の1程しか姿が確認出来ず建物頂上部しか水上に顔を出さない。
以前まではココに至るまではちょっとしたアクセス道かボートを使用した、現在は岸壁整備と遺構補修時に使用された作業道が残っているので簡単に来る事が可能だ。
崩壊寸前だったこの遺構も2009年以降の補修工事(※2)で暫くは楽しむ事が出来る様に成った、行政もこの遺構には観光効果を期待しているらしく助成金が毎年計上されている様だ。しかも毎年ライトアップなどのイベントも企画されていて来訪者を楽しませてくれている。
※2:2004年にも国の登録有形文化財として補修工事が、近代産業遺産に指定されています。
2009年、改修工事中に夜間のライトアップが行われていた。
旧式の水力発電は山間部で行われる事が殆どだった、それと言うのも送水落差を利用した物が大部分を占めていたので斜面に建設される事が多かった。過去にも類似する水力発電所を取上げているのでリンクしておこう。
比べると解り易い、冠水時と放水時の水位の差はこれ程も在る。このダム貯水時期限定でボートなどで接近する事も可能です。
簡単にこの水力発電所の概要を記載しておこう。
曽木発電所遺構の概要
曽木発電所遺構は、川内川の中流にある曽木の滝(東洋のナイアガラ)の約1.5㎞下流にあります。
いつもは鶴田ダム(西日本最大級の重力式ダム、昭和42年完成)がつくる大鶴湖の底に沈んでいて、洪水に備えて貯水位を下げる五月から九月にかけて優美な姿を湖面に見せてくれます。
この曽木発電所遺構は明治42年(1909)に、日窒コンツェルンの創始者で、我が国の代表的経済人である野口遵(ノグチ・シタガウ)により建設された水力発電所で、東西に幅43m、奥行20m、高さ19m、総面積2207.7㎡(約669坪)の2階建一部3階建であり、鹿児島県に唯一残る明治時代建造のレンガ造り建造物です。また、当時は水俣のカーバイト工場「チッソ株式会社水俣製造所」に電力を供給して、我が国の電気化学工業発祥のきっかけになった貴重な近代化産業遺産でもあります。
(アナウンスボード抜粋)
補修工事前にはこの様にして倒壊の危険性が在った、倒壊防止柵も設置(2009年当時)されていたが現在では補修工事が行われ倒壊の恐れは無い。
補修前の曽木発電所遺構、低い所では1メートル、高い所では5メートルもの土砂とブッシュで遺構の半分ほどが埋もれていました。
当時の方が遺構としては神秘的だったのだけれど…まあ倒壊して無くなるよりは。
九州の廃墟や遺構として取上げられる事も多いこの曽木発電所跡、今後も段階的に周辺の観光地化が進み、また改修工事も行われるとの事。今後時間が経過すれば訪問し易くは成るけれど生々しい遺構の姿は少しづつ減ってしまうんだろうなぁ。
アプローチ
観光地なので特に記載はしません、撮影アングルによって現地で利用する道路が大幅に変わります、以降は各々で地図リンクを参考に訪問して下さい。
地図リンク
https://goo.gl/maps/8Jks4grVbn32
写真撮影:6Frogs Design Works
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