東京都│府中米軍基地
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 府中米軍基地
ずっと訪れたかった場所、府中米軍基地跡。本当に来れて良かった、しかし来る時期を完全に間違えた様だ。藪、藪、藪。東亜プランのタイトルみたいなブッシュパラダイス、進路を阻まれた為に施設の極一部しか廻る事が出来なかった事が残念だ。あ、個人的にはデータイーストの方が好きなんですよ。
まあそんな訳(?)で次回のアタックは10月に設定、藪が少々薄く成る時期にもう一度行こうと考えている。恐らくこの廃墟群と紅葉はとても素敵だろうと、なので今回は半分事前調査って意味も含めて来訪。居住区を中心に早朝の府中米軍基地跡をうねうねと練り歩く、そして撮る事にしたのでした。
小雨が降る中訪れた府中米軍基地跡、早速居住区にお邪魔する。中は真夏なのに涼しい位の冷たい空気だ、心霊さんなら御託を並べるロケーションだけれど廃墟の撮影に来ている身としては逆に撮り易くて好都合。
しかしこれまた本当に良物件ですわ、見惚れてまう。割れたガラスから建物内に侵食する緑も美しくて。
基地跡北東部の居住区は2階建てと3階建てのアパートメントが数棟建っている、コチラはその中の2階建ての方だ。この辺は普通の地元住民居住区と隣接している場所。その為か数年に一度行われる周囲の草刈の際にもこの辺りは刈り取られる事はない、国としては周辺住民にこの現状を悟られたくないのだろう。紆余曲折の諸事情が在ったとしても結果、放置している事に変わりはないのだ。
隣接する新築のアパートや改築の家屋の工事、また道路の補修工事に至っても周囲の住民の聞き取りの内容を纏める限り大きく手の入った事は無いのだとか(東側の新規開発区画は除く)。
建築材料には現在認められない物が幾つか含まれている事が国によって確認されている、当時はその物質の含有量が規制されてなかったが現在では幾つかの物が違法と成っている。敢えて指摘もしないけれど皆さんがご存知のアレも含まれている、しかし一番の問題は建築材では無くて別の所に在った(※1)。
※1 再訪エントリーでも取り上げているのでお時間が在りましたら続けてお読み下さい。
この廃墟群での一番の問題点、それは土壌汚染だ。この問題に関しては以前から諸説(元関係者さんからの証言などで)言われてはいた、が近年に成ってそれを表面化する問題が浮上する。この辺に関しては正確な情報もまだ掴みきれていないので何れ再訪エントリー(※2)でご報告したい。
※2 最後尾に再訪エントリーをリンクしました、問題点も纏めてあります。
残留物は少ないけれどもう少し見て廻ろうか。
最北部の団地側、3階建ての棟へ。どの棟も茂っちゃってますがこの棟はとにかく酷い、もうもじゃもじゃです。内部の劣化も酷くてアチコチの部屋で屋根が崩れ始めています。
今でこそこれだけの崩壊が進んで人が入る事も減ったけれど1980年代~1990年代までは結構な頻度で侵入者が居た様だ、と言ってもその殆どは付近の子供達だったと聞く。
その子供達の侵入を裏付ける証拠品もこの廃墟群の中に沢山残されている、それは明らかに日本人の、しかも子供落書きだったり今より数十年前の玩具だったり。中には怪我をして救急車を呼ばれた事も在ると南側の住民が語ってくれた、府中の森公園の周辺の住民は古くからこの地域に住んでいる方が多くて聞き込み調査の時に大分お世話に成りました。
実はこの府中米軍基地跡、府中市のアナウンスによると近年中に再開発予定地に指定されています。集合住宅とテナントがワンサカと建設されてマンション+ショッピングモール(別案で食品関連施設の建設も予定)へ生まれ変わる事が既に決定(※3)されています。
※3 その後の調査で2012年に大きな動きが在りました、再訪エントリーでご確認下さい。
現在国、地域自治体、そして民間とで大揺れの跡地開発問題。この間々放置する訳にもいかないし住民からの治安を懸念する意見も挙がって来ている、どちらかと言うと地域を優先した方針で跡地問題の解決を進めて来た府中市だけれどそろそろ本腰を入れる時期に来た様だ。
今回見て廻る事が出来た4つの居住区アパートを後にします。
概観はこんな感じ、山でブッシュに慣れていてもちょっと気後れする茂り具合。勘弁してくれー。
予定より随分少ない棟数しか廻れなかったけれどこのブッシュが仕方ない、取り敢えずは周辺住民や行政への取材を済ませてしまおう。それからこの物件関連のNPO団体なんかも在ると情報が集まるかもしれない、って事でここから再訪までの間は机上調査を中心に進めて行く事成る。
いずれは解体され、今迄隠蔽され続けた真実も世に踊る事に成るだろうけれど現時点で解る事を少しづつでも良いから知る事が出来れば。
有名なパラボラアンテナ(府中トロポサイト)もこの通り、半分見れれば良い方です。鳥さんはスタッフが美味しく頂きました。
府中米軍基地跡(旧帝国陸軍燃料廠)
1939年に旧帝国陸軍燃料廠として設置、日中戦争の戦時中の航空燃料や自動車燃料の備蓄基地として表向き(詳細は後述)は建設されました。石油燃料を海外に頼っていたのは当時も今も同様で、関連研究もここで行われています。終戦後は戦勝国の米軍管理下に置かれ、極東第五空軍司令部と在日米軍司令部が設置されました。
隣接する航空自衛隊府中基地は航空自衛隊が発足した事を受け、指揮系統の一元化の為も合わせて一部の敷地を米軍から返還され、航空自衛隊航空総隊司令部として稼動。国内全ての航空自衛隊戦闘部隊を指揮する部署でも在ります、航空自衛隊府中基地は現在でも稼動中でフェンス越しに戦闘機なども見れます。
1965年に開催された東京オリンピックでは選手用住宅(選手村)としてこの米軍基地を利用する為に元々代々木に在った米軍関係者住宅を移設、府中米軍基地と2キロほど離れた関東村にそれぞれ集合住宅を建設した。
1973年、以前より議論されていた関東地域における米軍基地の整理統合計画、「関東計画」が全面的に押し出された形に成り、米軍府中基地は通信施設を除き全面返還されました。
2001年の同時多発テロを受け、その後3年間程は警察などの警備が強化されました。丁度この時期にアタックした廃墟さんは逮捕、拘留された様で数件の類似事件が今でも進入する際の注意事項として残っています。2001年当時は残された通信施設が生涯学習センター北側で稼動していた事も在り警備されました現在はその役目も終わり、正直な所を書きますと警備はされていません、ただ周囲の巡回は勿論、元通信施設の関係者さんの出入りもある事から進入は避けた方が無難でしょう。
1976年、1978年に跡地利用で国、都、市で使用権を分割する話し合いが数回行われましたが合意内容は色々と問題も山積していた様で一部の計画が完成したものの現在の廃墟群を残す形に成っています。
さて、ここまではこの米軍基地跡の概要だ。最初に書いたとおり、当初は旧帝国陸軍燃料廠として建設され、その通りの経緯を踏んで現在に到るのだけど少々面白い話を聞いた。実はこの施設が建設された当時、施設の運営内容とは全く関係ない機材や人材がこの場所に集められたと言う都市伝説的な話だ。自分自身はこの様な話に信憑性は見出せないけど一応調査したいと思う。
それが旧帝国軍にどの様に関係したのか、そもそもその話は本当なのかなど確認も取れてないので次回の調査結果と調べた内容を合わせてお話するとしよう、また良く関連性が指摘される「仙台トロポサイト」だけど場所だけリンクしておく。
東京航空局仙台遠距離対空通信所(ER-VHF)/通称・仙台トロポ
http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=37.990971517923406&lon=140.84301862335116&z=19&mode=map&pointer=on&datum=wgs&fa=ks&home=on&hlat=37.994683379261&hlon=140.7713875494&layout=&ei=utf-8&p
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アプローチ
国道20号からだと都道15号線が一番解りやすい枝に成る、都道248号線でもわかり易い。府中美術館、もしくは航空自衛隊府中基地へ向かえばこの基地跡が見えてくる。
2010.12.08 - 紅葉の基地跡で詳細な現地調査を行いました。
疑問究明の為に再訪しました、基地内を更に見聞したり現地の方への聞き取り調査。また当時の関係者に取材と行政への質問書、少々複雑なレポートですが今回を含めて是非お読み下さい。
またその後の追加調査をまとめた冊子「滅びの美学① 府中米軍基地│府中米軍基地跡の真実に迫る」も2012年6月に発売しました、冊子の中ではウェブ上で公開出来ない更に突っ込んだ内容が記載されています。興味が在りましたら合わせてお読み下さい。
※ 滅びの美学①「府中米軍基地の真実に迫る」は完売しました。
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