千葉県│相川の廃牧場
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 相川の廃牧場(株式会社スタッフサービス試験運用委託牧場)
今回の廃墟物件、実は詳細をお伝えする事が出来ない。勿論いつも通り許可を得ての来訪だけれどアプローチまでに現住の家屋が数件在り、今回の廃牧場へ行く為にはその敷地内を通らなければ成らない事に起因する。今回の来訪にあたってとても良くして頂き、時間も割いて頂いて色々とお話を聞く事も出来たのは幸運だったけれど沢山の方が庭先を通過するのは好ましく思わない事は想像に容易い。
って事で運営面での調査内容は記載出来るけれど場所や許可の申請方法などは不掲載とした、千葉県にこんな廃物件も在るのだなぁと純粋にレポートとして見て頂ければ幸いだ。
まずはこの物件に出会った経緯を少々書くとしよう。
ある沢の新しい入渓ポイントを探す為にグーグルマップ(航空写真)さんで空中散歩をしていた時の事、何やら人里離れた山中に牧場らしき敷地を発見した。しかしどうみても現在運営されている様には見えない、航空写真でさえ倒壊した建造物や手付かずの放牧区画が確認出来るからだ。
実はこの物件の付近は幾つかの山道が数本走っていて過去に歩いた事も在るしこの一体を流れる沢には何度も降りている。それなのに近年に成るまで全くと気付かず、しかも偶然見つけたと在って非常に興味を抱く結果に成った。
過去にも同じ様な経緯で見つけた物件を見に行っている。
拡大してこの場所を確認すると倒壊した物を含めて大小13棟の廃建造物が見て取れる、これは久々に手つかず(※1)の大型物件では御座いませんか。
事前に色々と調べると幾つかこの場所に纏わる情報を入手、
・県内では最初の近代型牧場である
・地元の地主が展開した牧場だがバブル崩壊と共に廃業した
・複数の地元投資家が共同経営していた
などなど。どれも最もらしいが整合性が取れない情報ばかりで結局は現地で聞き込みするしかないだろうと結論付けた、いやぁ何より写真撮りに行きたいですし。
と言っても内容的にはただの廃墟なのでそこまで根詰める物件とも思えない、ならば沢歩きやクライミングのついで物件としてベンチ入りさせてストックしておいた訳ですがこの度やっとこさで陽の目を見る事と相成りました。
それでは現在も詳細を調査中では在りますがレポートを始めたいと思います。
※1 山歩きの方々には昔から知られていた様で山行レポートには度々話題に挙がっている様です。
現地はいつも沢歩きで通過する場所、迷いも無く到着。早速現地の法人団体に交渉してまずは車のデポ地を確保、その伝手で立入禁止ゲート脇の住民にアポ。来訪前に色々とこの廃牧場の歴史や現在に至る経緯を教えて頂きました、付近の子供の遊び場にも成っている様で意外と地元では知られた存在の様です。その辺はレポートの進行に交えてお伝えして行きましょう。
まずはゲートから少々高度を稼ぐ様に九十九折れのアスファルトを登っていく、運営当時はトラックもこの道を通っていた様だけれど現在はアチコチと陥没・崩落したり倒木などで歩くのも憚れる程の荒廃を見せていた。多少の等高線が集まる斜面を抜けると薄っすらと土砂を纏った直線の道路が姿を現した、これが牧場内のメイン道路だ。側溝には野ネズミが、付近には鹿やキョンの気配が。
幾つかの枝を見つける事が出来たのでその内で一番濃い枝道へ入ってみる。
牧場の入口付近に到着した様だ。
この牧場、事前に調査した内容は全て間違っていてどうやら都内のある有名な企業が運営していた様だ。まあ県内最初の近代牧場はマザー牧場だし廃業して30年以上って事はバブル崩壊とも関係無さそう、そう思って現地で聞き取りをしたら案の定だった訳です。
朽ちた手製のフェンスや囲いがどうにか残っている状態、この場所で飼育されていた牛達は県内の関連企業へ引き取られた様ですが正確なデータを入手する事が出来ませんでした。
そうそう、先程の有名な企業が運営していたって話。記憶を遡ってみれば確かに覚えていますよ、このCM。皆さんもきっと聴き覚えがあるあのフレーズです。
そう、この牧場を運営していたのは「オー人事オー人事」で名を馳せた株式会社スタッフサービスなのです。と、行っても直接運営していた訳では無くて地元の土地所有者からこの広大な区画を購入、関連企業から人材を派遣して近代型牧場の試験的運用をしていた様です。
ウィキペディア - スタッフサービス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%83%e3%83%95%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9
ただ牧場自体はもっと前から存在しており、1990年手前で廃業したとの地元情報がある事からもっと以前に別の企業が運用を開始して1981年(スタッフサービス創業)以降にスタッフサービスが事業を引き継いだとも考察出来ます。
この辺はもう少し詳しく調査しようと思います、追加レポートをお待ち下さい。
幾つか残る廃建造物、最初に辿り着いたのは小規模の牛舎でした。
何せこの区画全体が自然に帰りつつある為と山側から竹が侵食して来ていて歩き辛い事この上ないって状態です、少し歩く度にウェアやらバックパックやらに色々と絡まります。
スタンダードな牛舎の形、そう言えば去年の夏に朝霧高原で廃牧場のエントリーをしておりました。
航空写真からでも確認出来る倒壊した建造物、どうやら飼料に使う牧草の簡易保管場所だった様です。並ぶ様に牛を繋ぎ止めておくパイプも在るのでこの中に牛が居る事も在ったのでしょう。
そしてこの場所から東側に更に数棟の牛舎や倉庫が残るのですが隆起した造形に草木が生い茂って進む事が出来ませんでした、次回の来訪時にルートを変えて確認しようと思います。
取り敢えずは北側に迂回して放牧区画へ移動するとしましょう。
!?
たまんねぇなおい!こりゃ凄いじゃないですか、いや写真じゃ伝わらないなこの景色の美しさ。突然開けた場所に広がる真っ白な立ち枯れ、うーんこの場に居ないと恐らくは感じる事が適わないだろうなぁ…。
そうだな…小学生の頃の趣味はバッ活(※2)をビルの屋上で音読する事でした。週末はTAKERU(※3)に赴き、1DDのフロッピー数枚に分割ダウンロードしたゲームで遊びます。
そんな子供の頃、お年玉で初めて2HDを購入して分割しなくてもゲームがダウンロード出来た時の驚き…それに近い感動なのです(多分)。
※2 バックアップ活用テクニックの略、非常にニッチな雑誌で小学生でこれを読んでる者は末期。
※3 ソフトウェア配信サーバーを介したDL筐体、実はジョイサウンドと同じネットワーク網だった。
小学生の頃の愛読誌はバッ活、Mマガ、ベーマガ、ゲーメスト、BURRN!…ド末期じゃねぇか。
スッカリと心が洗われてしまった、邪気など足の小指の爪に挟まった靴下の布屑ほども残ってはいない。そうだな、もう帰ろう…帰ってウゴウゴルーガの限定DVD見ようぜ。
同区画内には牧場だった事を如実に語る残留物が、大きな倉庫付近にはこの様な軽トラックやトラクターの連結荷台などが朽ちていた。
この状態からは予想するに難しいが運営当時はアスファルトの道路がシッカリと整備されており、メインの道路から各建造物へはトラックが出入り出来る広さの車幅とその重さに耐えうる周辺の場内交通整備がされていた。
大きな倉庫に辿り着いた、この倉庫には当時稼動していたと思われる軽トラック4台、農耕器具、酪農車両、数台のバイクなどが放置されていた。軽トラックはサブロクが中心でサンバーやポーターなんて懐かしい車両が腐っていた、バイクはR1ZやらVT250Zなど。運営されていた年代的にもピッタリと一致する、しかし問題はスクーターだった。これには正直ヤラレテしまったのですわ。
ビートじゃねぇええかぁああっ。
欲しいっ、これ欲しいっす。イチからレストアしたいですぅ、これ弄りたーい。
1986年に発売され3年間の短命ながらも水冷2ストの意欲作、なにより心震える仕様なのがV-TACS。そのシステムに関しては割愛するとして兎に角色々な新しい技術やデザインが採用された異端児でスタイルも斬新、現在においてもこのスクーターに惚れ込んだ変態さんは数知れず…。
んで手前にはモトコンポと人気を対したスカッシュ、何故かこのスカッシュは牧場内で4台ほど確認。オーナーさんの趣味なのかたまたま当時の人気車両を揃えたのかは解らないけれど素敵です、欠品パーツ多数だったけれど探せば転がってそうなんだよなぁ。
ちょっと話は脱線するけれど外で腐ってたサブロクのサンバー、「怪奇大作戦」で無茶振りカスタムされた特殊車輌トータス号のベース車両だったりします。マッドハウス(アニメじゃなくて車のカスタムの方)的な匂いが何とも鼻腔を刺激するじゃありませんか。
兎に角あちらこちらとスクーターが転がってる、コレでズークやらピープルが在ったらオーナーさんとお友達に成れたのにぃ。因みにお写真はパッソルの亡骸。
荷台が素敵にガーデニングされております、これ見て最初に思い出したのが「白沢峠の廃ダッジ」。アレもその内見に行きたい物件であります、って感じでまだまだ調査中の廃牧場ですが近日中に再度機材を入れ替えて撮影に行く予定です。この場所は廃墟として、自然の美しさとして正に両方が良物件として成立している素晴らしい場所なのでシッカリと納得の行く写真と調査内容をお届け出来ればと考えております。
本日は以上です、シコタホアァ。
アプローチルート近隣の配慮から地図リンクは不掲載です。
アプローチ
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
地図リンク
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
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