千葉県 │ 間滝(麻滝/間ノ滝/魔の滝)
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 間滝(麻滝)
起伏の少ない房総半島において余りにアクセスが困難な秘境めいた場所が在る、秘瀑として長年その姿を晒す事が無かった「間滝」だ。2011年の事前現地調査、2012年の詳細レポートをキッカケに都内の山岳会や千葉の沢野郎にも広く知られる事に成ったこの滝。
しかし本来は個人で入れる場所ではなくて個人の私有敷地や企業管理敷地、ゴルフ場などに囲まれて無許可で入渓出来るモノでは無かった。しかし2013年、製炭時代の旧作業道(現在は山道)からの簡易アプローチルートが開発され、山経験者なら楽に入渓して滝まで行く事が可能に成った。
それでも一部富津市の管理区画を通過する為に正確には市の許可などが必要な場所なのは変わりない事実だ、実はこのアプローチルート自体は以前より知ってはいた。この山道は峰岡往還も掠めているしルートによっては鹿野山との経由で利用される事も在るからだ、房総の山を歩いている者には比較的有名でも在る。
だけれども問題は「間滝」へのアクセスだ。
随分と前だけれどテープマーカーや順路札(案内板)を態々製作して無断で設置している輩がいると地元の方から連絡が在った、これは行政も確認している様でして。この辺に関しては前回のエントリーで追加レポートしているので是非一読して欲しいと思います、お浚いも兼ねてリンク参照。
そして問題なのは滝両脇のゴルジュに残置されたアンカーやらペグなどの放置ギア、これも懸念材料とされていて幾つかの団体(※1)や個人は行政側で特定済みの様です(当ブログでも2つ程残置した記事を発見しました)。また案内札を勝手に設置している人物も既に特定(※2)されていると聞いています、此方でも地元住民(富津市田倉区域)から複数の情報提供を頂いて把握しました。まずは自主撤去の告知を進めるそうです、それでも再度設置(または放置)するなら行政サイドから動きが在るでしょう。
※1 東京山岳会所属、茨城山岳会所属のそれぞれ複数の団体
※2 地元農業組合と行政の管理課、警察に情報提供が2014年03月に行われた様です
「何にせよ手前勝手な理論で自分の所有していない土地に案内板を設置する行為は違法だと言う事を解って頂ければ良いのですが…」今回の簡易ルートの入口付近を管理する方からはこんな言葉が漏れていました、撤去にはそれはそれで色々と書面や許可いるのだとか。地元の方は勝手に車などを停められて迷惑しているそうで農業組合の方達も含めて対策を練ると言っておられました、そして年内に新聞でこの問題を取り上げて貰う予定も在るのだとか。
折角NPO団体がこの付近の山道整備を始める為の運動を開始したのになぁ…これじゃあ一般の通行禁止も在りえる状況に成って来たですよ。
それらも含めて現在の間滝はどんな感じか少々覗いて来ました、2014年02月の豪雪の影響が懸念されていましたがその崩落具合は中々のお手前でして。いやぁ酷いものでした、入渓までのプロセスはこの簡易ルートのお陰で楽でしたが沢に入ってからはホントにジャングルジム。2年前とは全く違う表情を見せてくれました、年内には再度取材同行で来訪予定が在るのでそれまでに堆積物が多少流れていれば楽出来るのにぃ。
それでは諸々の確認と簡易ルートの現状を把握しに行くとしますか、間滝への「ちょろルート」ですが登山未経験者が無装備で行くのは駄目ですよ。
車のデポ地から歩く事数分、標高約260メートル小さな山の尾根に出る。地形的この尾根からやや沢寄りへ迂回して下っていく事に成る、暫くするとガリーにも見える小さな谷間を更に沢へ回り込む様に一気に下る。沢の出合いまで50メートル程残して高低差30メートル程降下すると間滝への支流への出合いだ。
因みに10メートル程のラペリングで降下が出来るのならば車のデポ地から15分程で滝へ至る別ルートを発見しました、行きはラペで降りて帰りはフットアンセンダー付きで登攀するか今回の逆ルートでロープを回収すれば更にアクセスは半分以下に成りそうです。
標高:251m
残距:948m
※ 場所特定を防ぐ為にGPSなどの詳細地図情報は不掲載とします
沢の流れの音が聞こえて来ました、最後の急斜面ですがスリーストランドの残置ロープが。とうに耐久期間は過ぎているので行政の回収リストに追加しておきましょう、取り敢えずどんなものかテンションを掛けてみます。
標高:91m
残距:292m
フルテンションでなければ大丈夫そうです、がやっぱり一般の方がこれを使用して怪我したらと思うと少々怖いですなぁ。手持ちのロープで確保した方が良いでしょう、斜面の勾配的には体力に自信が在ればロープレスでも降りる事も登る事も可能な範囲です。
さて、ここまでの旧作業道としての山道ですが確かに歩き易くて間滝へのアクセスは非常に楽です。また富津市の管理課下の土地ですが山道として認可されている為に一部区域以外は進入可能なのも確か。つまり普通に間滝へ行く場合は面倒な手続きをしなくても入渓出来る唯一(正確にはこの道を含めて3本程在りますが危険なルートです)のルートと言って良いでしょう。
近年に成って急に間滝のレポートが増えたのも頷けます、しかし。
それでも一部の入渓される方のマナーが悪い所為か(無許可での案内板設置や残置ギア)記述の様な撤去への動きや規制の流れが出来つつ在る事も留意する必要が在りそうです。
いや楽ですよ、確かに。
第一滝へ出る正規ルートなら個人宅のOさんの畑脇から一気に降下すれば僅か50メートルで到着ですが余りに危険、対してこちら(ちょろルート)のアプローチ距離は少々長い(総長凡そ1.1キロ)ながら健脚でなくとも踏破出来るレベル。それでもやはり興味本位で何の経験も知識もない方が迷い込んだら非常に危険な訳でして、もし行かれる方は十分な用意を切にお願いしたいと思います。
標高:76m
残距:279m
恩田川支流の出合いから間滝本流と成る恩田川へ入渓、ここから500メートル程遡行で詰めると間滝とご対面だ。昔はエンゼルカントリークラブ脇の農家の庭先から入渓して遡上出来たが現在では荒廃の為に途中で沢が切れてしまっている(此方も地元の住民と農業組合の方の協力で挑戦しましたがやはり駄目でした)、確実に滝へ至るには今回のルートは本当に良く出来ていると言わざる得ない。
そして入渓後直ぐのこの有様と遭遇する事に成る、今年(2014年)の記録的な豪雪の影響で両岸共に崩落していて倒木も多い。これは聞いていた以上の惨状の様だ、まあ行けるだけ行ってみますか。
標高:66m
残距:265m
今回で4回目と成る間滝への訪問、流石に最初に見た驚きも薄れて房総特有の狭いゴルジュ地形の圧迫もさして感じなかった。2年前と成る8月の訪問は咽返る熱気で嫌に成ったが今回は5月、しかも早朝と在って水も冷たくて空気も涼しい。草木の茂り具合も然程気に成らないが兎に角崩落に伴う倒木や草木が邪魔をする、今回一番気を揉んだ原因だったりします。
他にも以前は気に成らなかったポットホールに足を取られたりガバかと思ったらフックポイントがボロっと崩れたり若干では在りますが遊ばせて頂きました、ちくしょー。
標高:69m
残距:210m
そして驚いたのが今回初めての沢歩きと成る新メンバーのKoichiroさん、少し前に梨沢のエントリーをしたけれど正確に沢デビューしたのはこの間滝でした。初めての沢でこの場所、沢レベルは低いものの初めて尽くしの彼が以外とすんなり着いて来る事に若干の驚きが。
Koichiro's Photo - Re : Challenge
http://ameblo.jp/koichiro-m/entry-11848252880.html
ふふふ、東沢(ホラ貝)で泣かせてあげましょうねぇ。
さて、少々今年(2014年)の間滝付近の恩田川の様子をお伝えしましょうか。
水量は降雨量に多少左右されますが総じて少ない感じです、以前は堆積していた細かい砂利は少なくって現在は沢底が結構覗いています。ただ崩落箇所が多く、以前ゴルジュだった場所がゴッソリと沢に落ちている箇所や斜面が削られての倒木がとても目立ちました。つまりは沢シューズは逆にクイックに動けず苦労しそうなのでトレッキングシューズの方が歩き易いでしょう、ブロックパターンの荒いブーツでも良さそうです。
また所々で自然の堰が出来上がっていて流れが殆ど無い所と逆に流れが在る場所とが複雑に組み合わさっており、この流れが新たに出来上がった場所に堆積していた土砂が無くなった事で以前は気に成らなかったポットホールなどが顔を見せています。足場には本当に留意した方が良いです、滝手前の九十九折れの複合滝の部分は特に流木などが酷くて遡行し辛い事を念頭に。
標高:64m
残距:187m
ゴルジュがゴッソリと削れ落ちた箇所、沢が完全に遮断されていてこの様に土砂を登るか倒木を上手くクリアするかなどの選択に迫られる場面が幾つか。と言っても沢屋にしてみれば全く問題が無いレベル。だけれどこの倒木の所為でアタシのボブルビーちゃん壊れちゃったさ。
標高:68m
残距:152m
左岸から大量の土砂が崩落によって沢に流れ込み、右岸からは斜面に張り付いていた木々が倒れこんでこの様に流れを堰き止めていた。これってばちょっとやそっとの豪雨じゃ流れない(泥に成って溶け出さない)レベルの量なのだけれど…地形が以前とかなり変化してしまっていてもう少し手前からアプローチ出来るルートが探した方が良さそうだなぁ、何せ同行取材時には一般の報道の記者とカメラマンだから少しでも危険の無いルート開発せんことにゃ今後の仕事にも差し支えそうだ。
折れた枝もソリッドなのが多いから次回は鋸も必要(※3)かも。
※3 国有林、公有林、私有林に限らず無許可での伐採は森林法違反です。倒木でも同様で酷道時代(オフやトラ車で道なき道を走ったり押したり落したり)にもバイクを通す為にアチコチで伐採痕を見ました。残置ギアやロープも同様に罰則範囲です、記述の案内板もこの法律に違反している事に成ります。
標高:73m
残距:128m
GPSを確認すると間滝まで150メートル位の距離から少しづつ標高を稼ぎ始めている事が解って来た、そう言えば幾つもの自然堰を越えながら若干の登りを感じてはいたけれど…今まで気にしてなかったけれど意外と詰めていたのね。
2年前のラペ降下場所を過ぎると直ぐに最後の九十九折れ複合滝へ、ここを過ぎれば間滝の第二瀑布へ到着だ。
標高:104m
残距:19m
お久し振りです、約2年振りの間滝第二瀑布さんですよ。まだ朝って事もあって東陽が強くて滝の中に日差しが入り込まずとっても暗い、しかしこの「ちょろルート」のお陰で労せず来る事が出来ますねぇ…2年前の苦労がアホみたいやないかい。
しかしアレはアレで楽しいアプローチだし第一瀑布へはどうしたってアッチのルートの方が何かと便利、帰りだって一気に登り切ればOさん家の井戸水で身体洗えるしお茶も飲めるしおばあちゃん可愛いし、犬良く吼えるし。
※ 帰路はマザー牧場の従業員専用道路ってのも中々面白いです
さーて、ココまで来て気に成るのは残置ギアですねぇ…。クランクハーケン、アンカーボルト、ペグ、色々と在りますわ。コレじゃ規制しようって動きも解ります、2年前には無かったのに何でこの短期間でこんなに増えるの、こりゃ問題に成る訳ですよ。
当ブログのメンバーも仕事で行政さんやメディアの方達とご一緒する機会が多いだけで普通なら頻繁に来れる場所では在りません、純粋に沢歩きが好きでマナーが良い方が殆どだと思いますが一部の心無い方の所為で規制対象に成りつつ在るこの場所。先程も少し書きましたがあるNPO団体が山道整備に動いている時期でも在りますので配慮ある範囲で楽しんで頂ければ幸いです、地域の住民感情が硬化する前にどうか法に触れる様な事は控えて頂ければと、同じ山屋沢屋として切にお願いしたいところであります。
標高:106m
残距:5m
今年はこれから取材同行と別途依頼された付近の現状調査と2回の来訪を予定しています、その模様も年内にお伝え出来るかと思いますので今暫くお待ち下さいませ。
本日は以上です。
アプローチ
秘境及び廃墟物件は自然保護と建造物保護の為に不掲載としています、申し訳御座いません。
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