滋賀県│保月集落
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 霊仙廃集落群 - 保月集落跡
以前の霊仙廃村群のエントリーは以下より。
今回の多賀町廃村群エントリーは以下より。
今回の廃村群エントリー最後の集落はとってもとっても有名な「保月集落」跡、廃村単品としても今迄に多くを語られ、更に近年の多賀町廃村群のネット上でのエントリーにも数多く登場。時には幻の廃村などとも噂される事も、それだけ魅力溢れるワビサビ沈殿物件「保月」をレポートしていこう。
廃村群最後のエントリーとして存在感が在る集落をと考えていた、そしてやっぱりこの保月集落しかないと思ったその理由とは。
旧脇ヶ畑三集落の中心的な役割を果し、三集落に留まらず多賀町の廃村群随一の家屋密集度を誇った過去を持った保月。形成時期は杉集落より新しいとされているもののその人口はこの鈴鹿山系霊仙の山間部集落としては最大の600人を越えていたとの記録も。
実はこの集落は完全な廃村ではない、男鬼集落や後谷集落と同様に冬季限定無人の限界集落だ。行政側の認識では1976年に廃村と在るがその後一部の住人が戻り定住した為に2005年に再度廃村指定を受けている、この様な限界集落と廃村を繰り返す山間部の集落は日本全国各地に存在している。
1878年 65軒301人
1922年 58軒273人
1965年 28軒99人
1980年 12軒19人
大きな人口の変動時期を辿るとそれぞれが時代背景と連動する、峠越えの山間部宿場町としても栄えた保月。大人数を収容出来る宿や関連施設、杉集落同様平地の強み、行政の県境としての役割など人と産業が関わる重要な立地だった事も人口増加に拍車を掛けた事だろう。幕末から明治へ、最初の世界大戦、日本の敗戦、多少の時期ズレは在っても世の中の動きと人口変化は連動していく。
そして燃料革命と共にやはりこの保月も廃村へと歩みを早める、結果通常農耕や宿場としての機能も失われ現在に至る。
今でも元住民の方や行政の方が頻繁に往来する廃村だ、管理が行き届いていて寂れた雰囲気は余りない。
直ぐにでも住めそうな家屋が現在でも数件残る、家屋の機能を残した間々の廃村としては一帯の廃村より遥かに状態が良さそうだ。
実際廃村時期が他の集落より実質的も近年よりだと言う事、大規模な集落だったので必然的に行政の手が入っている事がその理由だろう。
解体作業もやはり近年に掛けて数物件行われていて役場や学校なども、特に廃校物件としても知られていた「脇ヶ畑小学校」の跡地には記念碑も建てられている。
因みに下の写真の建物は教員宿舎。
崩壊が進む家屋もやはり在る、此方は荒らされたのか自然の力なのか、もしくは動物の仕業なのか…倒壊と言うか荒廃の類。
しかし他の廃村に比べ、家屋の状態が比較的良い物が多い。それには理由が在って車道の開通が遅かった事が挙げられる、なんと車道開通は1949年。戦後復興とは関係なしにそれまでは山道しか無かったのだ。
今でも残り、そして山屋さんに人気の登山ルートが三重県から延びている。この保月集落や杉集落を横切るコースも数本在って廃村の時期も人の往来が在った様だ、機会が在れば是非歩いてみたい。
その後の国産車の国内需要が急増し、物資の運搬も必然的に増える事に。それによって立て替えた家屋が家屋も沢山在った様でその結果が家屋の倒壊を免れている一因に成っているとも思える。
沢山の資料が残されていて、レポートサイトや書籍が沢山見つかる廃村「保月」集落。当ブログで深く掘り下げる事は敢えてしなかったけどとても一度では紹介しきれないエピソードが沢山在る、それだけ多くの人と接してきた集落だったのだろう。
冬季限定の廃村とは言えこれからこの保月が再復興する事はない、ならば出来るだけ多くの人の記憶に留まり続け、より多くの資料やレポートが後世に引継がれて行く事を望みたい。
去年(2010年)の霊仙廃村群レポート、今年(2011年)の多賀町廃村群レポートと滋賀県の廃集落を幾つかエントリーしました。今回の保月集落跡でこのシリーズは終了ですが鈴鹿山系霊仙にはまだまだ語りつくせない人の歴史と廃村が存在します、機会が在れば是非この人が残した歴史を体感して欲しいと思います。
自分的宿題として謎の多い男鬼集落(城址、比婆神社)は再訪予定です、また比婆神社は特に重点的に調査予定。比婆神社の地下に静かに眠る未調査の洞窟なんか滅茶苦茶そそられるじゃーありませんか、高取山城(男鬼)と日光東照宮の関係とかも…ほら、気に成るでしょう?
滋賀面白い、ホントこの地域の文化や歴史は人を魅了します。
インデックス程度に覚書、詳しい調査をまとめたサイトは沢山在ります。興味が在ったら、もしくはこのブログで沸いたら。
だけど。
キーボードを叩くだけが勉強にあらず、現地での見聞こそが一番の知識欲を満たすご馳走なのです。連休や有給の消化に如何でしょうか、廃村散歩などは。
アプローチ
県道17号線と県道139号線の分岐を県道139号線へ、そこからは一本道で最初の集落が杉集落、次の集落が保月集落と成ります。
地図リンク
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