岡山県│あぶくま高原ホテル 大越温泉健康ランド
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - あぶくま高原ホテル(大越温泉健康ランド)
廃墟好きさんには幾つかの種類があるようでして、それは退廃的な雰囲気や美しさに感銘を受けたり、それは廃墟と言う存在自体に魅力を感じていたり、そして私の様にバックストーリーを中心に周囲の歴史を掘り越したり。
それらが独立した趣向ではないので複数の目的があったり全く別の魅力を感じたりする方もいらっしゃるでしょう、んで今回の物件なんですが福島では相当に有名な様でして廃墟さんの他には心霊さんやサバゲーさんもご贔屓にさているのだとか。
何より驚くのはそんな特殊な趣味趣向ではない一般の方も来訪されると言う事、これどういう事かと思われるでしょうが実は登山道の入口と言う立地の所為で登山者の駐車場としても機能しているのです。
今回ご紹介する物件「あぶくま高原ホテル」は山間部に突如運営を開始した大型総合レジャー施設でもありました、付近には大越登山口や鬼五郎渓谷の入渓箇所が幾つかあるので現在でも趣味人の他に一般の登山客にも知られていると言う経緯があるのです。
それにしてもこの施設、兎に角その規模が凄い。
ファミリータウンあぶくまと総称され、あぶくま高原ホテル(大越温泉健康ランド)・キャンプ場・BBQ場・エテルナ教会(簡易式場)・釣堀(鬼の宿)などを擁していた。周囲の観光が若干弱い(と言うより立地的に何もない)事が災いしてか登山客や近圏の温泉客しかリピーターが居なかったと聞く。
この付近には1998年辺りから観光地化の開発が進められ、このファミリータウンあぶくまもその中核を担う存在となる筈だった。しかし山を切り開いていざ運営してみると閑古鳥の有様、2004年には運営が本格的に厳しくなり2005年には営業が停止、その後2006年に正式に閉館が決定してその後放置されている状態だ。
個人的に歴史が薄く、語る事が少ない上に廃美が皆無な物件なので興味はゼロに等しい。が、折角立ち寄ったので調査出来た範囲内でレポートを進めるとしよう。
正式な閉館が決まった2006年以降、管理は完全にストップしてアスファルトの切れ目からは飛散した種子を根付かせた植物が顔をだしていた。
駐車場の半分は登山客やサバゲーさんが頻繁に使用している様で比較的草木は根付いてないが建造物方面の半分はかなりの範囲でモッサモサ。
そして内部はここから見ても酷い状況が解る、ガラスというガラスが殆ど割られているからだ。
この付近は元々「大越温泉」と呼ばれてはいたけれど単純泉(※1)の上かなり薄くかった様だ、このホテルでは泉質よりも多様性で勝負を掛けた様で露天風呂・泡風呂・薬草風呂・真菰湯・サウナなどを展開して登山客に喜んで貰う為の四苦八苦が伺える。
※1:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%98%E7%B4%94%E6%B8%A9%E6%B3%89
それでは内部にお邪魔しよう。
なんだろう…早くも帰りたく成って来た。
破壊の限りを尽くされている、本当にどうしてそんなもんまでってレベルで殆どの設備がこの状態。内部外部に関係なくBB弾だらけ、こりゃ駄目だ…ぐるっと一回りしたら撤収しよう。
そうそう、なんでここまで荒れ果てているのか。
営業期間が少ない為、閉館時点ではとても綺麗な建造物で全てが現役で使用出来る状態で売りに出されていた。税収に繋げたい地元行政や田村市大越町観光協会もこの施設の即時売却や再運営には乗り気だったと聞く。
が、現在に至るまでその買い手は…。
これは根本的には既述の通り立地が悪い、ここまで細い道と山間部の特有の枝分かれが多い為に交通の便が悪かったのだ。施設運営で送迎バス(※2)も試みたがやはり駄目だったよう、そして買い手としての問題点が幾つか有った。
それは維持費だ。
冬季とも成ればこの一体は氷点下、しかもマイナス10℃以下と言うから福島にしては結構寒い。そこでまず問題に成るのは光熱費、これが非常にコストを圧迫する。また途中からこの施設位しかアクセスの用途がない道を通る為に降雪時の除雪整備にもコストが掛かる、山間部の為に除雪業者を低地から呼ぶにしても常駐させるにしても高額な予算を必要とされる。
他にも幾つかの要因が重なり、現状の廃墟という状態を長く継続してしまっている。
※2:全く関連性は無いけれど同型同色の廃バスを青森の旅館廃墟でも見ましたなぁ
和室タイプの客室、少々狭いが悪くはない。野良人が住み着いた形跡も散見出来たが今と成っては布団なども使用出来る状態に無い、畳も腐りかけていた。
後方に見えるのは大滝根山、山頂付近には大滝根山分屯基地(航空自衛隊のレーダー施設)がある為に山頂へは基地への申請としないと登頂出来ない。
航空自衛隊 - 大滝根山分屯基地
http://www.mod.go.jp/asdf/ohtakine
大滝根山 - ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%BB%9D%E6%A0%B9%E5%B1%B1
殆どのガラスが割られている為に内部には雨風が入り込み、通路も客室同様にこの有様。この状態の建造物を解体するにも運営していた企業には既に体力は無い筈…と思って調べてみたら管理者が田村市の建設課に成ってるではありませんか。
え?どゆこと?
と思いまして更に調べようとも思いましたがどうやら色々と面倒そう、少し現地の関連法人に聞き取りしたらバラバラの回答ってのもありまして今回は詳細調査はしませんでした。
この廃墟唯一の綺麗な状態を保ったボイラー室+機械室、流石に大規模な施設を担当するだけあって大きな別棟内に設置されていました。
電気関係はまた別でこのボイラー室でメインの屋内温泉を沸かしていた様です。
リコーのシータアップロードサイトへ移動(ブランク)します、PCからならマウスのジェスチャーコントロール、モバイルの方も同様ですがVR系アプリがインストールされている場合はジャイロが良い働きをしてくれます。
調理室の機器は全て撤去されていました、閉館当時に換金出来る物を売却したのだとしたら他にも売れる物は沢山有った筈。同業間ではこの手の倒産話は直ぐに足が着くので必ず叩いて買い取る専門の業者や関連施設企業が処理に手を挙げます。
しかし施設内には既に破壊された大型の冷蔵庫やエアコン類、リネンや布団類、電気機器が沢山残されています。現地来訪時、この点に疑問を感じましたが…うん、まあもういいや。
受付からロビー、宴会場に至るこの一体はとてもかび臭く(施設内の風呂場が最悪でしたが)て破壊され様も酷い感じでした。
まあ入口ですし。
さぁて、ぐるっと周り終わっても感想は変わる事無く。営業期間も10年以下で周囲に関連する歴史もないので今回のレポートは終了です、何か特別な温泉だったり歴史があったりと調査欲が掻き立てられれば話は別なんですけどねぇ。
過去、行ってみたの紹介物件の中でも最低と思われる興味の無さで紹介するかも悩みましたが意外な事にこの「あぶくま高原ホテル」を扱ったサイトが殆どありません(2017年現在)。有名ではありますが登山者のブログや心霊さんの書き込みに反応する程度、でもその理由も現地に赴いて理解出来たなぁと。
ええ、ここツマラナイです本当に。
アプローチ
どの様なルートかで大きくアプローチが変化する面倒な立地です、地図リンクを参照して頂ければ幸いです。
地図リンク
https://goo.gl/maps/6KJBmDoHvyE2
写真撮影:6Frogs Design Works
ここから下はブログ内容と一切関係ないブログサービスの広告スペースです、誤ったクリックなどにご注意下さい