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静岡県│笹間渡水力発電所
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 笹間渡水力発電所(東海紙料/東海パルプ/中部電力)
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東北の水力発電所の雄「旧和賀川水力発電所 」。その雄姿は未だに記憶に新しく、そして発電所跡の魅力を強烈なインパクトと共に眼神経に焼き付けた戦犯物件 でも在った。それから幾ばくか発電所の廃墟を探していて”行くのがシンドイ ”やら”崖やら川やらに阻まれて面倒臭ぇ ”など心滾るキャッチーな伝聞、そうですか…そんな面倒スメルな物件が在るですか。
なら、行かなければなりませんね。
お誂え向きにアタシら岩屋と沢屋だし、うーん素敵な煮汁の香りが漂ってきたわっ。しかも50年モノの煮汁 ですって?カピカピ じゃないの、汁じゃないじゃない…でも良いの。
アタシらカピカピも嫌いじゃないもの。
意気込みは竹槍でB29を撃墜せんとばかりか血液さえ沸騰する程、因みに血液の沸点はモル計算とか面倒だけれど水と一緒位なんやって。モル計算とか懐かし過ぎてケツから血ぃ吹いた わ。
そうだ、物件名。
はい、これ「笹間渡水力発電所 」ね。さっきもチョロリと書いたけど50年モノの熟成廃墟でして、これがシングルモルトならさぞ旨かろうて。んで、色々と複雑な経緯を辿った発電所なのだけれどその辺も説明しながらエントリーを進めたいと思います。実は有名物件でしてダムマニアさんや廃墟好きさんには結構な頻度で撮影されているみたいです、現在の管理人さんからも面白い話が聞けたので一緒にまとめてお伝え致しましょう。
それでは「笹間渡水力発電所 」のエントリーを開始しましょうか。
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来訪当日は3件の撮影を予定していた為余りゆっくりは出来なかったけれど行程も含めて中々楽しめたこの物件、噂通り事前調査が無いと結構な距離を歩かされる面倒な立地だった。
こりゃ水位によっちゃ来れない方もナンボか居た筈だ、特に危ない場所はないのだけれど「面倒くさい」の一言に尽きる。どんな場所に在るかってーとこんな感じです、はい。
Image may be NSFW. Clik here to view. 大井川が大きくうねり込んだ山間部の片岸、その小さな平地にその発電所は残されております。実はですね、対岸から楽に行けるルートが在りましてこの茶畑を管理されている方はその道を通ってココまで来ます。この場所に来た事が在る方はご存知かと思いますが茶畑の管理人さんが自作された対岸とを繋ぐ滑車(鉱山の空中索道の様な物)が設置されています、この自作滑車は道具や収穫された茶葉を運搬する為の物で人道は別に在ります が今回は管理人さんの要望で未公開 とさせて下さい。
と、言うのもちょっとだけ危ない場所が在るのですよ。対岸の道路からは5分と掛からずこの発電所まで来れるのだけれど…その他ににも3つのルートが。
一つは釣り人が使用する少々離れた崖を降りる場所、ですが近年土砂崩れでそのルートの一部が崩落していてこちらもちょっと危険だったりします。
二つ目は下流から砂岸を歩くルート、これは入渓地点から2キロ程歩きます。非常に疲れる行程でお薦め出来ませんが現地で探せば直ぐに解る位の緩い斜面が下流方面に在りますので自己責任でどうぞ、こちらは川を渡る以外に危険は在りません。
三つ目のルート、これが殆どの方が利用されている上流から巻く行程です。今回はこのルートだけ簡単に説明しましょうか、水位が低い時で在ればこのルートが一番安全かと思われます。
Image may be NSFW. Clik here to view. 本来この場所はとても簡単に行ける所では在りませんでした、と言うのも。上の図を見て頂けると解りますが東西南北自然の鉄壁ガードが構築されてまして、道路開発と公園整備が為される前は先程書いた釣り人ルートがメインでした。
Image may be NSFW. Clik here to view. 大井川がうねり込んだこの立地、笹間渡水力発電所から見て北側に鵜山森林公園が在ります。手前にその町営駐車場が在るのでデポ地としても人気の様です(特に釣り人が利用)、そこから公園を抜け河川へ降りる未整備道が伸びています。
Image may be NSFW. Clik here to view. まあこんな感じで歩く訳です、時間して30分位でしょうか。河川法の問題で地元でも問題視されていますが更に上流から車で進入出来るポイントが幾つか在ります、実際四駆車のタイヤの跡も在りますが流石に止めた方が良いでしょう。地元の方の話によると他県ナンバーの車がBBQなどをやりに来る様で頻繁では無いですが警察沙汰も在るのだとか、それと不法投棄の話もされてましたが割愛しましょう。
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貨物運搬用の自作滑車装置 、溶接などもする様ですが現在は茶畑の管理がメインだそうで。発電所跡もちょっとした個人的な経緯も在り倉庫として活用しているとの事、この辺も諸事情で未掲載 とさせて下さい。
余り知られていませんが右側の山間部上部にはサージタンクが解体されずに残されて います、冬季なら行けると思いますが来訪時は8月。夏真っ盛り、思春期特有のやり場の無いリビドーの様な勢いで草木が生い茂っていてとても登る気には成れませんでした。
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これ、よく自作したなぁと。作動風景を見るとぶっ壊れそうなスピード で飛んで来ますが今の所は現役で頑張ってくれている様です、個人的にはFRPで外装作ってLEDで装飾し無駄なギミックを詰め込みたい所です。
ほいじゃ内部にお邪魔しましょうか。
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実は此方側は裏手だそうで、正門は逆側なんだとか。あー噂通り「旧和賀川発電所 」にソックリさんですねぇ、状態も悪くないし何よりアクセスが悪い事が功を奏して破壊行為などが一切されていない事が嬉しいっす。
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相棒もこの美しい被写体に魅了されたのかシャッター音が量産されていく、彼のTシャツの背中にはカタカナで「ボディアンドソール 」と大きく書かれているが特に気にせず此方も撮影に入る事にしよう。
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比較的小さな規模の水力発電所跡だ、旧和賀川発電所の1/5程度の広さしかない。それにはシッカリと理由が在りまして、取り入れ口と成る川の規模に左右されているのです。
そう、この発電所は大井川に隣接していますがサージタンクの設置されている東側山間部には別の川が流れていまして。現在では笹間川ダムでコントロールされている管理河川の笹間川 、この笹間川が取り入れ口だったりするのです。
笹間川からサージタンクを経て流込み式の発電 を行い、眼前の大井川に放水すると言う形でした。取り入れ口で在る笹間川も大井川下流で合流するのですが支流間で上手く発電する為の位置を模索したらこの人を寄せ付けない場所に建設する事に成った様ですね、行政から提供して頂いた1950年代のこの発電所の資料を読むと山間部には建設の為の作業道や管理用の管理道が在った筈ですが流石に閉鎖から50年…とうに自然に帰ってしまった様です。
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撮影率が非常に高いこの2台の自転車、何気なく皆さん撮影されていますがコレってば実は大きなヒントだったりします。そう、つまり当時の生活道路とこの発電所を自転車で行き来出来た って事なんですわ。
その道についても調査して判明したのですがダム建設の為に付近の地図が書き換えられておりまして、興味の在る方は各々調べてみて下さいませ。
photograph:+10
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それではこの「笹間渡水力発電所 」について少々説明しましょうか。
先ずはこの発電所のスペックなどを、水力ドットコムさんにはいつもお世話になっております。
水力ドットコム - 東海紙料 笹間渡発電所 跡
http://www.suiryoku.com/gallery/shizuoka/sasamado/sasamado.html
○ 発電所諸元
歴史
所有:東海紙料[ 運開 ]→中部電力[ 廃止 ]
1931年04月01日:運用開始
1961年03月31日:中部電力所有、廃止
水力発電方式
種別:廃止(一般水力)
形式:落差を得る方法/水路式(未確認)
方式:水の利用方法/流込み式(未確認)
最大出力
認可最大出力:4030kW(後に5000kW)
設備(導水路延長)
水路:3220m
面積(流域面積)
面積:61.92平方里(955平方キロメートル)
発電利用河川
取水:笹間川
放水:大井川
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内部に残されているのは農業工具・器具などで当時の発電所時代の物は周囲の関連設置物の解体作業時に撤去されてしまっている、因みにまだ作業道が在った頃に持ち込まれた道具やリアカーも。このリアカーじゃあ喜界島1周 は厳しいなぁ、そう言えばあのリアカーに名前着いてたよなぁ。
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発電所諸元の続きです。
開運した東海紙料について
東海紙料とは旧大倉財閥に属していた製紙会社で、現在の東海パルプの前身。まずは各企業のウィキさんを。
ウィキペディア - 東海パルプ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e6%9d%b1%e6%b5%b7%e3%83%91%e3%83%ab%e3%83%97
ウィキペディア - 大倉財閥
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%a4%a7%e5%80%89%e8%b2%a1%e9%96%a5
ウィキペディア - 特種東海製紙
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%89%b9%e7%a8%ae%e6%9d%b1%e6%b5%b7%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%82%b9
元々は東海紙料がパルプ製造のために大井川に発電所を建設したのが始まり、その後は一度停止期間が在り(その間に別の民間企業に委託→委譲)、中部電力に完全に移譲されるまで再び運用される。中部電力での運用は農業用発電だったがコレもダム建設に伴う発電量不足、また規模の小ささが問題と成って1961年に廃止される。
また笹間川ダムと密接な関係(ダム発電)と成る川口発電所 にその全ての業務を移譲、本来東海紙料が利用する発電量は赤松発電所 に移された。管理権限も中部電力から企業名が変わった東海パルプに戻り、現在も稼動している。
水力ドットコム - 中部電力 川口発電所
http://www.suiryoku.com/gallery/shizuoka/kawaguti/kawaguti.html
水力ドットコム - 東海パルプ 赤松発電所
http://www.suiryoku.com/gallery/shizuoka/akamatsu/akamatsu.html
総じて当時の発電量の問題と笹間川ダムの建設に起因するこの発電所の停止・閉鎖ですがただ単に箇条書きで終わる歴史では在りません。
この辺は更に詳しい調査をしている最中ですので終わり次第皆様にお伝えしたいと考えています。
ウィキペディア - 笹間川ダム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%ac%b9%e9%96%93%e5%b7%9d%e3%83%80%e3%83%a0
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1階は勿論タービン室 なのだけれどお決まりの台座 と地下が見下ろせるマウントホール の掘削痕が見当たらない…と思ってたら。ああ、廃材やらで塞がれてたのか。
通常の水力発電所同様にサージタンクから繋がる水路が地下に在ります、現在は埋没しちゃってますが撤去された訳ではなくただ長い年月によって埋まってしまった、と。
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ホント、コレだけ見ると旧和賀川水力発電所そっくり。昔の水力発電所はどうしても落差によって水圧動力を得る水路式、なので山間部の谷間とか人を寄せ付けない場所に建設されてしまうのです。
外に見える大井川、この発電所が稼動していた当時は水位も随分とあって流れる速度も速かったとか。
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2階部分、こちらも旧和賀川水力発電所同様に発電機 か誘導電動機 が設置されていた筈なのだけれど(資料には稼動当時に2機の発電機が設置されていたと在る)台座が見当たらない。
写真の入口2つは稼動時にドアが取り付けられていたけれど現在はこの通り、行き着く内部も同じ部屋。造りがちょっと解らないけれどきっと理由が在った筈、人用と重機用かなぁ…幅が違うし。
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さて、ここから地元の方からお聞きした話を少し記載しよう。と、言っても稼動当時は子供だった為に余り詳しくは覚えていないと釘を刺されての内容なので整合性は欠けるかもしれない。
「この発電所が動いていた当時、これが企業の生成用の発電所だとは知らなかった。付近にはまだそこまで家が多くなかったが当然地元の電力供給の為の発電所だと思っていた 」
これ、実は他の発電所を調査している時にも聞いた事がある台詞だ。
国内の企業が独自運用する為の発電所、今では当然の様に建設されているが戦時中を交え戦後の復興開発と話を絡めると国の主導ではなくて企業(当時は個人として認識され易かった)が発電所を建設すると言う事が如何に”以外 ”で”普通ではなかった ”かが良く解るエピソードだ。
この地元の方も勿論当時は子供だったのでそこまで深く理解して居なかった様だし発電所が稼動停止する数年前の話だとしてもギリギリ1960年代、ポニーモナーク やらキャブトン やらが走ってた時代だ。いいなぁ、RTF のミュージアムコンディションとか幾らするんだろ…いや待てよ。確か1950年の頭に4CVのライセンス生産してるからリアルで日野ルノー とか走ってたのか、羨まし過ぎるっ。
ああ、地元の方の話に戻りましょ。
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「発電所までは山を回りこんで歩いていけた、自転車を持ってる人は行きは押して帰りは乗って帰って来た。中には入れて貰えなかったが回りで遊ぶ事は出来た 」
ほほう、それはそれは。道が在った事は調査で判明していたけれどやはり生の声で聞くと実感が沸く、当然廃墟の中に自転車が残されているのだから当然っちゃあ当然なのだけれど。で、ここでもう一つ気に成った事が在った。
”行きは押して ”、”帰りは乗って ”。
つまり発電所から見て人が住んでいる場所が低い場所に在ったと仮定出来る、しかし1950年代の周辺の土地図を入手してもそこまで高低差(自転車を押す程の)は見受けられない。そして帰りは乗って帰って来ている事から平地か下り…これはちょっと調べてみても面白いかもしれない。
事前に調査した道と地元の方が利用した道が違う可能性が出て来た訳だ。
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狙ったかの様な椅子の場所、そして陽の射す角度。違う誰かがきっと上手くセッティングしてくれたに違いない。折角なのでこの間々撮らせて頂こうか。
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外周を見て回ると茶畑のおっちゃん(現在の管理人さん)が休憩していたので
「おっちゃんコレ登ってもよか? 」
「よかよか、行きんさい」
鉄部の錆びが気に成ったけれど強度的には問題なし、ハーネスつけてヨロレイする程の高さでも無いし流石におっちゃんに悪い。普通に見学するとしよう。
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良く見ると茶畑の葉の色が違う、実は別の種類の葉かとも思ったけれどお茶って基本的に煎れ方で別けてるし狭い場所で別の茶葉作るってのもなぁ。これは聞くのを忘れてました。
手前には既に解隊された関連施設のコンクリートベースが残っています。
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正面シャッターの所で休憩中の管理人さんに話を少しだけ伺った。
「この場所には意外と人が沢山来る、テレビやインターネットで取り上げられているのも知っている。最近は若い人に混じって結構年配の方もどうやって来たのか訪れる事が在る。大学生なんかも先生と一緒に来るけれど写真を撮るのは普通の人ばっかり、偶に畑の中をズカズカ歩く輩がいるのが心配事の一つ 」
ああ、どの物件の管理人さんも似た様な事を話されます。
「それとなんか変な服着て写真撮って帰る奴等、あれは何?気持ち悪い、挨拶もしないし声掛けても知らん顔だし 」
ええっと、あー多分”コスプレ ”さんですね。色々居るんですよ、色々と、ねぇ。
他にもこの発電所に関しての話をお聞きしました、その内更なる調査の結果内容と一緒にご報告しようかと思いますので暫くとお待ち下さいませ。
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おっちゃん帰るでー、また来ますわー。
声を掛けるとわざわざ手を振ってくれた、見えないマスクの中で口元が「ファック 」と呟いた様に感じた。とても優しい管理さんだった、空を見ると秋を知らせる高積雲が羊の様に身を寄せ合っていた(※1 )。
※1 当日は快晴でした。
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千葉県からはちょっと遠いけれど中々撮影意欲と調査意欲を掻き立てられる物件だった、資料や書籍からでは解らない事や地元の方の証言、管理人さんからの話をお聞きした感じから更なる歴史の掘り下げをしたいと思わせる内容だったのも嬉しい誤算。
まだいつに成るか解りませんが追跡調査の結果報告をしたいと考えています、ひとまずは以上です。
アプローチ
本文を参照して下さい。
地図リンク
http://yahoo.jp/P0ihZM
photograph - nee
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